細田守監督の感動作品『おおかみこどもの雨と雪』では、おおかみおとこのお父さんが衝撃的な形で亡くなりました。
父親が死因や死んだ理由が気になった人も多いのではないでしょうか?
さらに、亡くなった遺体を普通にゴミ収集車で回収されていたのもなぜなのか、気になります。ただの動物ではなくニホンオオカミですし…。
『おおかみこどもの雨と雪』のお父さんの死にまつわる気になることをまとめて調べました!
『おおかみこどもの雨と雪』お父さんの死因(死んだ理由)を考察
おおかみこどもの雨と雪。細田守監督作品。グラフィック、映像の魅せ方、音楽が好きです。劇中、ずっと父のことが気になってて集中しきれなかった思い出が…。さて、観ますか!! pic.twitter.com/MzjDgo6qSq
— 千代 (@waabow) July 10, 2015
お父さんの死因については、語り部である雪が、劇中で次のように語っています。
その日父が何を考えていたのかわかりません。
赤ん坊のために狩りをする本能が
働いたのかもしれませんし、産後すぐの母に滋養のあるものを、
食べさせたかったのかもしれません。
結局、アニメの中でもヒントはあるものの、明確な死因が明らかにならないまま、物語が進行していきます。そこで、お父さんが死んだり理由をいろいろ考察してみます!
①ハンターに狙撃された説
まずは、猟銃を持ったハンターに狙撃されたのではないか、という説です。そのように考察する理由は、
お父さんの周りに野鳥の羽がたくさん浮かんでいたから
です。
おそらく、雪が語ったように、花に滋養のあるものを食べさせたいと思ったのか、狩りの本能が芽生えたのか、とにかく父親は山に入り、キジのような野鳥を狩っていた可能性があります。
以前にも妊娠中の母に野生の記事を狩って、鍋のようなものを振舞っていたことがありましたしね。
東京の市街地でハンターに狙撃されることはあり得ないと思いますので、父親は野鳥を狩っている最中に山でハンターに遭遇し、狙撃された可能性があります。
そのまま命からがら、身を隠すように川まで移動し、市街地の川の下流まで流れ着いたのではないか、そう考えるとあり得る話ですよね。
②交通事故説
次に、こちらも事故なのですが、交通事故に遭ったという可能性です。
おそらく狩りをするためにオオカミの姿になって外出していた父親が、帰り道に交通事故に遭い亡くなってしまったということも考えられます。
しかし、この考察で難しいのは、引き揚げられた父親の遺体に目立った外傷がないことです。車に轢かれるなどの事故の場合、血が出ていてもおかしくありませんが、全くの無傷そうに見えますよね。
死因としてはあまり考えられないかもしれませんね。
③溺死説
シンプルに溺死、とも考えられます。
狩りに行った際に何らかの事故で川に滑り落ちてしまい、そのまま流されて溺死、という説です。劇中では、雨が川に流されているシーンがありましたよね。
あのシーンが父親の死を彷彿とさせました。オオカミであっても、簡単に川には流されてしまうことがわかります。
それに、亡くなった日ずいぶんとひどい雨が降っていましたよね。川の増水により川の流れも速くなっていたことで、溺れてしまったのかもしれません。
④寿命説
実は、この寿命説もかなり有力なのではないかと思います。というのも、
父親の姿の消し方が不自然
だと思いませんでしたか?
大雨の日に、荷物と財布を玄関先におき、そのまま忽然と姿を消しています。
オオカミに変身して狩りをするために荷物は全て家に置いておく必要があったとしても、家の中ではなく玄関にわざわざ置いておくでしょうか?
何らかの理由で急いでその場を去らなければならなかった理由があったように思えるのです。それは、
自分の死期を悟ったから。
飼い猫が亡くなる前に飼い主の元から姿を消すという話はよく聞きますが、父親も同様に死期を悟り、本能的に家族から離れた可能性があります。
オオカミの寿命は10~15年だそうですが、人間の血も入っているという意味で、もう少し長生きできると考えると、22、23歳は意外と寿命だったのかもしれません。
なぜ父親はゴミ収集車で回収された?
映画『おおかみこどもの雨と雪』
父の「いつでも笑顔で」という教えを守り、どんな時も笑い続ける“花”。だれよりも強い彼女を泣かせるのは虐げる者たちでなく、彼女を愛し愛される者だけだ。見終わった時、母の笑顔が浮かんだ。 pic.twitter.com/DbTQuXuAwv— 秋 (@_aki1007) June 30, 2014
なぜよりによって父親はゴミ収集車で回収されなければならなかったのでしょうか。あまりにも残酷なシーンでしたね。
考察していきます。
一般的な野生動物の遺体の処分方法
そもそも一般的に、野生動物の遺体は、
一般廃棄物として処理
されるそうです。つまり、普通の「燃えるゴミ」…。火葬処分となります。
ただし、ペット等は動物霊園などで供養されると、埋めたりすることは場合によっては可能だそうです。
一般廃棄物ですから、ゴミ収集車でも対応できるということでしょう。
物語の展開上必要な演出だった
『おおかみこどもの雨と雪』の物語上必要な演出だったとも考えられます。
というのも、作品のメインテーマは父親の死を乗り越えた「母親の愛情」だったり「子どもの成長」です。
父親を弔ってやれない、お墓もない…そんな死に方をした父親の死があっても、花は気丈にふるまって必至で子どもを育てますよね。子どもたちは子どもたちで、花の苦労などつゆ知らずそれぞれ自分の意思に従って自由に生きていきます。
他の人と自分が違っていても、いくら状況が過酷でも、自分の道を見つけて生きていく、との力強さを表現するために、おおかみおとこである父親の残酷な死が必要だったと思います。
おおかみと人間の中間は存在し得ない
父親の死は物語のかなり冒頭で描かれますが、オオカミの姿では人間の世界に馴染めない、という事実を突きつけるシーンになっています。
つまり、オオカミか、人間か、どちらか選びそっちで生き抜くしかない、オオカミと人間の中間はこの世界では受け入れられない、という事実を表現しているように思われました。
白か黒か、0か100かの選択です。
これは、今の世の中のアナロジーだと思います。男か女か、日本人か外国人か、正常か異常か…挙げればきりがありませんが、この世の中にはどちらかを選択しなければならないものが多いです。でも、その中間地点に当てはまる人も存在するのですが、その存在はかき消され、生きづらい思いをしていることがあります。
なぜなら、人々はどちらかしか存在しない、と思い込んでいるから。
少し深読みしすぎかもしれませんが、中間でグレーで生きる、ということの難しさを表現するために、
オオカミ(人間じゃない)死体=ゴミ
という構図をわかりやすく伝える必要があったのかな、と考えます。
まとめ
『おおかみこどもの雨と雪』のお父さん(父親)の死因と、なぜゴミ収集車で回収されたのかについて、考察してきました。結論、
- 父親の死因は、
- ①ハンターに狙撃された説
- ②交通事故説
- ③溺死説
- ④寿命説
がありましたね。また、ゴミ収集車で回収された理由は、
- 物語の展開上必要だった
- おおかみと人間の中間は存在できないメッセージ
が考えられました。
考察しがいのある作品ですね!