映画『万引き家族』に登場する子供たちは、貧しいながらも一生懸命生きる姿を見せてくれます。祥太は自分の状況に揺れ動く様を少ないセリフで見事に演じ、深い感動をもたらしてくれます。
今回は
- 祥太はなぜわざと捕まったのか
- 最後、口パクで祥太はなんと言ったのか
について考察していきたいと思います!ネタバレを含みますのでご注意ください。
祥太(しょうた)はなぜわざと捕まったのか?
【映画 #万引き家族 地上波初・本編ノーカット放送中!】
— 【公式】フジテレビムービー (@fujitv_movie) July 20, 2019
どうしてもりんには万引きをさせたくなかったと思われる、祥太の行動。なお祥太を演じた城桧吏さんは、本作をご覧になった方に向けて、「万引きは犯罪です。ぜったいにしないでください」と語っています。 pic.twitter.com/jg1nPx6Stk
結論から申し上げると、おそらく
何もかも終わりにしたかった
からだと思われます。
祥太は生活のために万引きを繰り返していました。万引きを悪いこととも思わず、治からも「店のものは誰も買っていないなら、誰のものでもない」と教えられていたためです。
しかし、りんが家族に加わり駄菓子屋の店主から「妹にはさせるなよ」と万引きをとがめられたことから、
自分の行っていることは悪いことだと実感していく
のです。
ある日、りんがスーパーで万引きをしようとしましたが、祥太はそれを止めるためわざと店員に見つかるように商品を盗んで逃げます。
追いかけられ、追い詰められた祥太は道路の下に飛び降り怪我をしてしまいます。そして、警察に捕まってしまうのです。
このことがきっかけで、柴田家は崩壊します。りんに万引きをさせたくなかったのも理由の一つだと思いますが、犯罪を繰り返す事を終わりにしたかったのではないでしょうか。
この祥太の繊細な心の動きを、役者の城桧吏さんは見事に演じていますね。ついつい引き込まれる演技です。
祥太は最後の口パクで何と言っていたのか
万引き家族 是枝裕和監督・脚本・編集・原案
— たつぼう β (@junklandZ) February 15, 2019
一見普通の親子、実は血の繋がりもない赤の他人の集まりだった。でもどんな普通の親子より親子らしいものがあった。。。とにかく役者が凄い。リリー・フランキーと安藤サクラ、樹木希林はバケモノ級の上手さ。松岡茉優と子役も凄い上手い。やられぱなし pic.twitter.com/J0nxqyGZub
【おさらい】祥太の最後のシーン
祥太の最後のシーンは、治と一緒に過ごした後、一人バスに乗って施設に帰っていくシーンです。窓際に座った祥太は、走り去るバスを追いかけてくる治を見て、口パクで何か言っています。
しかし、何と言っているのかは声がないので不明なんですよね。
観た人からはいろんな憶測がなされました。
口パクで何と言っていた?
ズバリ
父ちゃん
だと思います。
唇の動きからも「父ちゃん」と読み取れます。
また、治はずっと「父ちゃん」と呼んで欲しがっていました。しかし、祥太にはずっと拒否されていました。
治と祥太がすごした最後の夜「あの時、おれを置いて逃げようとしたの?」と祥太が治に聞きます。治は肯定し「おじちゃんにもどるわ」と言いました。
ずっと父親になりたかった治でしたが、祥太が入院した時すべてが露見することを恐れて残った家族で逃げようとしました。あとで迎えに来ようとしたのか、そのまま行方をくらまそうとしたのかは不明ですが、父親の行動ではありません。
治自身も、どんなに望んでも本当の親にはなれない。その事実を痛感したのではないでしょうか。
祥太もそのことを治に確認し、責めることもなくこともしませんでした。自分を置いて逃げようとしたことが事実だったと認識することで治との決別を決めたのでしょう。
バス停での別れのシーン、いつまでもバスを追いかける治とは対照的に祥太は一切顔を挙げません。治の姿が見えなくなった頃窓の外をふりむき「とうちゃん」と一言つぶやきます。
偽りの親であり、だめな父親でした。しかし、確かに愛されていた記憶もあったのでしょう、許しの意味もこめて祥太は「父ちゃん」と呼んだのではないでしょうか。
成長しなかった治と対照的に、祥太は精神的にもとても成長しおとなになったのでしょう。
まとめ
今回は映画『万引き家族』の祥太はなぜわざと捕まったのか、最後口パクでなんと言ったかについて考察してきました。
結果
- 万引き生活を終わりにしたくてわざと捕まった
- 最後「父ちゃん」とつぶやいている
と考察できました。
社会的弱者である幼い子供の姿を通して、現代社会がかかえる問題を私たちに教えてくれる名作『万引き家族』を違った視点で観てみるのもいいかもしれません。