映画『アーヤと魔女』の原作者は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ。イギリスのファンタジー作家です。
代表作『魔法使いハウルと火の悪魔』は、2004年スタジオジブリにより『ハウルの動く城』として映画化されて大ヒットしましたね!
しかし、映画『アーヤと魔女』は、非常に中途半端なところで終わっています。このことが、この作品の評価を下げる大きな要因となっているようです。
そこで今回は、
- 『アーヤと魔女』が、途中で終わったようになっているのはなぜか
- ジブリ映画と原作との違いは何か
を考察していきますよ!
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▶『アーヤと魔女』の原作についてレビューされている動画がありますので、ご参考にどうぞ!
ジブリ映画『アーヤと魔女』は途中で終わった?
途中で終わった感じになった理由
アーヤと魔女やっと見れたけどめっちゃ面白かった!!
— めい (@fjz_sn) March 18, 2023
絶妙な終わり方するのがジブリ!って感じで最高!!あたしの世界征服も好き☺️ pic.twitter.com/Znn8WUScZ7
途中で終わったような、中途半端な結末でおわっているのはなぜかというと、現に
『アーヤと魔女』は途中で終わっている
からです。
宮崎吾朗監督は取材でこのように語っています。
「後で知ったのですが、この作品はもともと描きかけの作品で、後から手を入れようと置いていたものだったらしいんですよ。
それを彼女が亡くなる前にそのまま出版したのが『アーヤと魔女』。
なので世に出たのは最近のことですが、書いたのはけっこう昔のことだったそうですね」
著者のダイアナさんが、「これはそのまま出版してもいい」と言い残したことにより、未完のまま出版されました。
宮崎吾朗監督も未完のままの状態を作品にしました。
これらの理由で途中で終わったような作品になったのです。
面白かったと言う意見も!
明日の金曜ロードショーは僕が音楽を担当させて頂いたスタジオジブリ作品「アーヤと魔女」とても面白い作品なので是非ご覧ください📺#スタジオジブリ#宮崎吾朗#アーヤと魔女 pic.twitter.com/FCIzO6pnWL
— 武部聡志-TAKEBE SATOSHI- (@takebesatoshi) March 14, 2024
小説「アーヤと魔女」は、作者が書きかけのままにしていて未完でした。
宮崎吾朗監督が原作のエンディング通り、未完のままで映像化したため、『アーヤと魔女』のラストが中途半端、ひどい、意味が分からない等の低い評価が多数見受けられます。
確かに、起承転結の結が抜けてしまっている印象なんですよね…。
しかし一方で、肯定派の中には、
物語自体は山場が少ないものの面白かった!
という意見もあります。
物語の序章としての魅力はあるのです。その分、未完の原作を忠実に再現したところが大きなデメリットになってしまったのが残念ですね。
『ハウルの動く城』映画化秘話
ちなみに、ジブリの過去作、宮崎駿監督の『ハウルの動く城』も、『アーヤと魔女』と同じダイアナ・ウィン・ジョーンズさんです。
しかし、『ハウルの動く城』については、原作小説と映画には多くの違いがあります。というのも、ダイアナさんは宮崎駿監督とジブリのファンだったようで、宮崎駿監督には「ハウルの性格を変えないように」という注文だけを行ったので、監督が自分の表現や解釈に基づいて作品を制作することができました。
結果として、『ハウルの動く城』はジブリ感満載の映画になったのですね。
『アーヤと魔女』も、作者の思いを汲んで物語を完結させていれば、評価はもっと違っていたでしょう!
原作と映画の違いはどこ?
ノーカット#アーヤと魔女🎀金曜よる9時
— アンク@金曜ロードショー公式 (@kinro_ntv) March 12, 2024
原作:#ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
監督:#宮崎吾朗
企画:#宮﨑駿
音楽:#武部聡志
主題歌:#シェリナ・ムナフ
声の出演:#平澤宏々路,#寺島しのぶ,#豊川悦司,#濱田岳,#シェリナ・ムナフ pic.twitter.com/rmMPE4hRvR
エンディングは確かに原作に忠実になっていることがよく分かりました。そのほか原作小説もジブリ映画で違いを調べてみると、
- 映画では音楽要素を取り入れている
- 映画ではアーヤの母親が登場する
- 原作ではアーヤの名前がEarwiになっ
という違いがあることがわかりました。
まず、ジブリ映画では、アーヤの母親と魔女ベラ・ヤーガ、マンドレークの3人は若いころロックバンドを組んでいましたが、この設定は、原作にはありません。
宮崎吾朗監督が、物語の舞台を1990年代のイギリスと設定して、10歳のアーヤの年齢から母親の若いころを逆算したそうです。当時のイギリスはロックが盛んだったので、ロックバンドを選んだそうです。
次に、アーヤの母親は原作では登場しません。
なかまの12人の魔女に、追われています。逃げきったら、この子を返してもらいに来ます。
何年もかかるかもしれませんけれど。この子の名前は、アヤツルです。
孤児院に置き去りにされたアーヤの横に、このように書かれた手紙が置かれているだけでした。映画では、ロックバンドのヴォーカルをしています。冒頭の、颯爽とバイクで逃げているシーンなどから、非常にアグレッシブで格好良い女性に感じられますね。
ラストシーンにアーヤ達の家を訪問しますが、このシーンも原作にはありません。母親が現れてエンドロールが流れるため原作よりも途中で終わった感が強くなっていますね。
原作のアーヤの名前はEarwigです。
アーヤの母親、ベラ・ヤーガ、マンドレークが組んでいたロックバンド名の「Earwig」は、原作のアーヤの名前です。英語版の題名は『Earwig and the Witch』です。Earwigがアーヤで、Witchが魔法使いです。Earwigは、ハサミムシという意味です。
アーヤの髪型から付けられたのだとおもいますが、盗み聞き、入れ知恵、取り入ろうとする、という意味もあります。その名の通り、アーヤはずる賢いところがあります。映画版も「あやつる」の名前通りに人を思い通りにしてしまいます。
まとめ
『アーヤと魔女』が途中で終わったのはなぜか、原作は未完で、映画との違いは何か、について主に調べてきました。
結論として、
- 『アーヤと魔女』は、作者が亡くなってしまい原作が未完
- 映画版では、アーヤの母親が登場
- ロックバンドの音楽要素が追加
- アーヤの名前が原作ではEarwig
映画では、母親が登場しているので、12人の魔女に何故追われているのか?再会したアーヤやバンド仲間だった二人とどのように過ごすのか?などの話がモヤモヤしていますね。そして、アーヤは魔女として成長するのか?などを、キッチリ回収した脚本の映画ならヒットしそうですね。
宮崎吾朗監督は、原作と作者をリスペクトし、深堀する形で追加要素を取り入れているそうです。作者が同じ、「ハウルの動く城」の作成時には、宮崎駿監督と作者で「ハウルの性格は変えなければ、ある程度自由にして大丈夫です。」と取り決めがあったようです。その為、ジブリのエッセンスがたっぷり入った作品になったのでしょうね。