ジブリ映画『アーヤと魔女』は原作同様に、映画も未完の結末になっています。そのことから「意味がわからない」など、批判的な評価も多いですよね。
一方で、「面白かった」「途中で終わったけど内容は好き」「アーヤがジブリっぽくなくて良かった」という肯定的意見もあります。そういった意見を掘り下げるとともに、宮崎吾郎監督が『アーヤと魔女』に
- どんなメッセージを込めたのか
- 何が言いたいのか
を考察していきましょう!

映画鑑賞は年間100本以上・映画ブログ運営4年
中学生の頃に『スターウォーズ』に感動して以降、
映画の沼にハマり続けて20年。
結婚・出産後も年間100本は必ず鑑賞中。
Filmarksアカウントにも鑑賞レビューを掲載中。
『アーヤと魔女』に対する面白いレビューがこちらです。かなり散々ですが、いろんな見方ができると思います!
『アーヤと魔女』のネタバレをかなり含みますのでご注意ください!
『アーヤと魔女』は何が言いたい?意味が分からない?メッセージは何?
アーヤと魔女
— 終値ミク@川越 (@owarinemiku) August 28, 2021
面白い!面白いのですが、最後が・・と思ったら、原作のことを知り納得。
吾郎さんが補っても良かったのではと思いながら、エンディングのような絵でも観たかったです。 pic.twitter.com/zQnrTjen0Y
『アーヤと魔女』に込められたメッセージ
映画『アーヤと魔女』には、
閉塞感のある現代社会を前向きに、したたかに生き抜いて欲しいというメッセージ
が込められています。
宮崎吾朗監督は、公式サイトやインタビューなどで、主人公のアーヤが「良い子じゃない」ところに惹かれたと語っています。
また、「利用できるものは利用する強さが大事」だとも語っていて、生きづらい今の世の中を生きる現代の子どもたちに対するひとつのモデルになるような作品を目指したそうです。
何が言いたい?
宮崎駿監督は、この作品を息子に託すにあたり、
「この生きにくい世の中でどんなに生きにくくても、とにかく隙間を見つけて、隙間をこじ開けて、味方を作りちゃんと生きていく。その力が一番足りないんじゃないか」
と、本作の企画意図を明かしています。
確かに、最近の子供たちは親をはじめとした周囲の大人の期待に応えようとし過ぎている面があるのかもしれませんね。
周りにいろんな情報や選択肢が溢れる今だからこそ、うまく利用できるものは利用して生き抜く力が必要なのかもしれませんね!
『アーヤと魔女』の評価:意味がわからない?面白かった?
アーヤと魔女、面白いな
— \(GÅO)/🐉 (@ochuceratops) January 1, 2021
黒猫のトーマス可愛すぎる
うちのも使い魔なのかしらん pic.twitter.com/7EyadqBl0Y
『アーヤと魔女』は意味がわからない?
冒頭で解説した通り、ジブリ映画『アーヤと魔女』には「意味がわからない」という評価もあるのも事実です。
例えば、次のような意見です。
否定的な意見の理由としては主に、
- 終わり方が中途半端、途中で終わった
- メッセージの意味がわからない
- 面白くない
といったものが目立ちます。
終わり方に納得できないと「意味がわからない」!となるのかもしれませんね…!
▶評価がひどいので「大コケ」して赤字なのではないかという噂もありますが、真相を考察してみました。

『アーヤと魔女』が面白かった!
一方で、『アーヤと魔女』は、ジブリらしくない新鮮な驚きに満ちていながらも、鑑賞後にはやはりジブリらしい前向きな元気をもらえるといったところが肯定的な意見の中心でした。
『アーヤと魔女』の肯定的な意見は
- アーヤの特異性格が良い。大人を手玉に取り、やり込める楽しさが良かった
- 小さなエリアで起こる、大きな冒険が楽しかった
- 魔女の禍々しさと、3ⅮCG独特の気持ち悪さがマッチしていた
- エンディングの途中で終わった感がジブリっぽくて素敵
といった内容がありました。
もう少し『アーヤと魔女』の魅力について深掘りしていきましょう!
アーヤの性格が素敵!
アーヤ性格は
今までのジブリ主人公と違って「あざとさ」
を持っています。
大人や周囲の人を、意のままに操つることに長けています。しかし、困難に直面した時にも挫けず、前向きです。ただし、周囲の人を操った結果は、自分と周りを幸せにしていました。そういった、ジブリっぽくなくてジブリっぽい感じが高評価を与えているのですね。
小さなエリアの冒険が好き!
映画全般を通して、孤児院とマンドレイク達の家での描写で物語は、ほぼ完結しています。しかし、マンドレイク達の家は魔法の部屋があり、狭い感じを受けません。
- あったはずのドアが消える
- アーヤが奥の部屋のドアを抜けると広いガレージに繋がっていて、置いてあった車からラジカセを見つかる
- 汚い魔法の部屋があったり、庭には魔法に使う植物が植えられている
などなど、マンドレイクの家だけでも、かなりおかしな構造で、見ていて飽きません。
アーヤは、貰われたマンドレイク達の家で、ワクワクする探検をしています。また、黒猫トーマスと一緒に魔法でいたずらする様子も見ていて楽しかったですね!
アーヤが壁に開けた穴も、隣の部屋に続いているだけの穴ですが、ある時には、魔法でマンドレイクの部屋にに繋がることもあります。こういった通常の空間と魔法の空間を持ち合わせているので、小さなエリアといった感覚はありませんね…!
3DCGが良かった!
ジブリ作品で初のフル3DCG作品である『アーヤと魔女』は、ピクサー映画と比較されることが多いです。ピクサー映画と同じ土俵で語られると、ネガティブな意見が多いのは事実です。
しかし、
ピクサー映画とは全く別物と考え、魔法と3DCGの相性を好意的に受け止める意見
もありました。
今作で使われる魔法は、ハリーポッターの様にスティックをかざして呪文を唱えるのではありません。色々な素材を調合して魔法を作ります。ベラ・ヤーガが受ける魔法の発注も、「コンテストで一位になる魔法」と言ったようなコミカルな物が多いですね。出来上がった魔法は、ジェル状で光り輝いています。そういった映像に、今作の3DCGがマッチしていたのでしょうね。
途中で終わった感がジブリっぽくて好き!
今作の不評の原因で一番と言ってよい「途中で終わっている」ことを好意的に受け止めている意見もあります。
物語が進み、アーヤが皆を操り出します。これからどうなるのだろうか?とワクワク感たっぷりのところで、母親が登場してエンディングを迎えます。多くの人が「え?」と思っているとエンドロールが流れて、本当に物語は終わります。
エンディングの不思議な感じを「ジブリっぽい」
と捉えられると素敵なエンディングに感じられるのでしょう。そういう人たちは、全ての伏線がどうなるのかを想像して楽しむのでしょうね。
途中で終わっているので、その後を描いた続編があるとおもしろいかもしれませんね!
まとめ
『アーヤと魔女』感想。面白かった。主人公がひねくれていて「自分の思い通り」にするたくましさがあるのが良いですね。壮大さは全くなく舞台もほぼ家の中でこじんまりしているけど、それがテレビで観る映画にぴったり。3DCGであっても表情豊かで楽しい。寺島しのぶやトヨエツの声もハマりまくり。 pic.twitter.com/qi3pXusUks
— ヒナタカ@映画 (@HinatakaJeF) December 30, 2020
映画『アーヤと魔女』は何が言いたいのか、メッセージや評価は意味がわからない・面白かったなのか、等について考察してきました!
結論としては、宮崎吾郎監督や宮崎駿監督によって、閉塞感のある現代社会を前向きにしたたかに生き抜いて欲しいというメッセージが込められた作品でしたね。
この作品のファンは、
- アーヤがあざとく、ずる賢いが結果みんなを幸せにするところ
- 3DCGと魔法のマッチング
- コンパクトなエリアを感じさせない物語感
- 想像を搔き立てるエンディング
が好きなのだと思います。
肯定的な意見のほとんどは、否定的な意見の裏返しです。従来のジブリファンから見ると、アーヤの主人公像や初めての3DCGといった試み、未完の原作を踏襲したエンディングなどは、違和感や嫌悪感を感じてしまうのでしょうね。
しかし、アーヤは前向きに困難に立ち向かっています。その結果『アーヤと魔女』は、皆を幸せに導いているジブリ映画に仕上がっているのではないでしょうか。