映画『タイタニック』でジャックが最後に沈むシーンは、本当に心を打たれます。しかし、なぜ沈んだのか、死因は何なのか、疑問に思うことも多いのではないでしょうか。
そもそも、ローズが乗っていたドアにジャックも乗れたのではないか、という話は有名ですね。
ドアの話含め、ジャックの最後にまつわる謎に迫って考察しました!早速見ていきましょう。
【考察1】ジャックが最後に沈んだ理由
かなり久しぶりに、
— さつまん (@Satuman_F) May 14, 2021
金曜ロードショーをみました!#タイタニック
ローズとジャックは
離れてしまったけど、
最後の最後は一緒になれて
よかったのけ⁉︎
元に戻った船内で祝福してくれてる人達は元乗客達ていうのも哀しい。
ディカプリオ、男前が過ぎる。 pic.twitter.com/OMa6kjmqCZ
ジャックが沈んだ物理的な理由
『タイタニック』の沈没後の様子を見てみると、海中にいる人のほとんどが亡くなったあとも浮いていませんでしたか?凍った状態でぷかぷか浮いている様子が恐ろしいシーンがありましたね。
しかし、ジャックが息絶えて、ローズの手から体が離れた後、すーっと海中に沈んでいきました。なぜ?と思われた方も多いと思います。調べてみると、ジャックは
- 救命胴衣を身に着けていなかった
- 着ていた服が水を吸って、さらに凍って重くなっていた
ということが理由として考えられます。
たしかに劇中でぷかぷか浮いていた人たちは救命胴衣を身に着けていたので、沈んでいませんでした。人間は普通水の中では浮きそうなのに…と思ってしまいますが、亡くなると一度沈むそうです。その後浮き上がってくるようですね…。
恐ろしい話になってしまいましたが、ジャックはつまり、亡くなったうえで、救命胴衣を身に着けておらず、さらに来ていた服が凍っていたために、その重さで沈んでしまったのではないか、と言われています。
ジャックも木片のドアに乗って生き残れた?
ファンの感情として未だにしこりとして残ってしまうのは、『タイタニック』でジャックは沈む必要はあったのか、ということですよね。それは物理的に、ではなく、物語の展開として、です。
熱いファンからよく語られる話ですが、ローズが最後に乗っていた木片のドアには、2人くらい乗れそうなスペースがあるように見えます。あのドアにジャックも一緒に乗れば一緒に生き残れたのでは?と思った人も多いはずです。
これについて、ローズを演じたケイト・ウィンスレットが、トーク番組で司会者からこの凍死の一件について「君はジャックを水の中で凍死させたよね」とジョークでいさめられたときに、
「私もそう思う。実際、彼もあのドアの上に乗れたと思うのよね」
引用元:シネマトゥデイ
と、あっさりジャックを見殺しにしてしまったことを認めています(^^;
しかも、アメリカの実験番組が、実際にドアに2人乗って浮かぶことができたかどうか実験したのですが、
- 実験ではドアに2人乗ることができた
というのです。
しかしこれにはジェームズ・キャメロン監督は反論しています。実験を行ったのは温暖な気候のサンフランシスコで、実験を行った2人は、実際に乗れたはいいものの乗るまでにかなりてこずっていたのですが、
- マイナス2度の海水温で2人乗ろうともがいていたら10~15分で低体温症になり、
ドアに乗れたころには2人とも命が尽きていただろう
と、監督は話しています。そう言われると、確かに、当時の2人には海中でもがくほどの体力はすでになかったように見えましたし、ドアも2人乗れたとしても、数時間、いや、何時間後になるかわからない救出まで2人分の体重を支えて浮いていられたかというと、浮力も十分ではなかったかもしれません。
そんないろんな状況を加味して、ジャックはドアに乗ろうともしなかったし、ローズもジャックを上に引き上げようとせず、ジャックは死んでしまったけど、ローズは何とか生き残った、一人の命は助かった、という結果になったのでしょう。
最後の最後で、「君が飛び込むときは自分も飛び込むよ」の2人の合言葉通りにできず、運命を共にできないまま終わってしまったことは悲しいですが、その悲しみや死、別れ、がこの映画のテーマであり、名作と評される要因の一つですね。
【考察2】ジャックの最後の死因は何?
ジャックの死因は明らかに「低体温症」からの「凍死」なのですが、映画という作品における、ジャックの死因について考察してみたいと思います。
①ジャックは空想の人物
実は、ジャックについてまことしやかに囁かれている仮説があるのですが、それは、
- 映画に登場するジャックは、ローズの空想の人物なのではないか
ということです。もっと言うと、ローズは精神疾患を患っており、存在しないジャック・ドーソンという空想の人物を作り出した、という仮説です。その裏付けとして考えられる事実は複数あります。まず、
- ローズは望まない結婚に苦悩し、自ら命を絶とうとしたくらい精神的に追い詰められていたが、
偶然過ぎるタイミングでジャックが表れ命を救った
という出来事です。ジャックはローズが飛び込むなら自分も飛び込むと言ってローズを引き留めます。さっき出会ったばかりの人にそこまでするのは不自然ですし、ローズの極限状態を考えると、空想の人物を生み出してもおかしくないと思われます。さらに、
- ジャックがローズに言った「自由にならなきゃ」「そうじゃなきゃ、君は死んでしまう」という言葉
については、ジャックはローズの内なる声として、ローズを救おうとしているからこそ出てきた言葉なのではないか、とも考えられます。そしてさらには、
- ジャック・ドーソンという人物がタイタニックに乗船していた記録がない
という点です。これは映画の最後の方、年老いたローズの回顧シーンが終わり、それを聴いていた財宝探索船の船員が話していました。記録がない、ということはやはりジャック・ドーソンは乗船していなかった裏付けになり得ます。
しかし、この点については、ジャックはポーカーで勝利して乗船チケットを手に入れ、いわば他人に成りすまして乗っていたので、ジャック・ドーソンという名前が記録や乗員名簿になかったとしてもおかしくありません。
ただ、この船員が話した後に、ローズが「(記録が)あるわけないでしょう?彼は今、私の記憶の中でのみ存在するの」と答えています。ここは解釈の仕方に依りますが、初めからローズの頭の中、記憶の中にしかジャックは存在しなかったのかもしれません。
だからこそ、ジャックは最後、ローズが乗るドアにスペースがあったとしても、死なないと(消えないと)いけなかったのですね。ローズが自由になるために…。そういう目線で、ジャックとローズのやり取りを思い起こしてみると、さらに切なくなってきます(´;ω;`)
②ジェームズキャメロンの芸術的な理由
ジャックの死について、今なおファンから「ジャックはドアに乗って生き延びることができたのではないか」という意見が強いことに対し、監督のジェームズ・キャメロンは次のように語っています。
「彼が生き延びていたら、映画のエンディングは無意味なものになっただろう……。これは死と別れについての映画だ。彼は死ななくてはならなかった。こうならなければ、煙突が彼に落ちてきて沈んでいたよ。つまりは芸術なんだ。物事は芸術的な理由で起こる、物理的な理由でなくてね」
引用元:シネマトゥデイ
ちょっと難しい話ですが、映画という作品の芸術の為に、ジャックは死ぬべくして死んだということでしょうか。脚本も手掛けたジェームズ・キャメロン監督からしたら、死因も含めて、なぜ死んだのか、どう死んだのか、生き延びる方法はあったのではないか等を考えるのは非常にナンセンスなのでしょう。
ジャックがあの瞬間あの形で命が尽きたからこそ、美しく、そして多くの人の心に残り続ける物語に完成したのです。
ジェームズ・キャメロン監督は、今なおこのジャックの死について人々が語っていることに対し、
- 「こんな議論を公開20年経った今でもしているなんてバカげている」
と少しうんざりしながらも、
- 「それが意味するのは、この映画で観客がジャックが死ぬのを見て心が引き裂かれるほど、彼をとても愛すべき存在として描けたこと」
と満足げにインタビューで話しています。なぜかあのシーンだけは、いつまでも心にしこりとして残ってしまうんです。私を含め、『タイタニック』を観た方の多くは、監督の思惑通りに心を動かされてしまったようですね。
『タイタニック』
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まとめ
映画『タイタニック』でジャックが沈むのはなぜなのか、その理由と死因、といった最後のシーンの謎について、いろいろ調べ考察してきました。結果、
- ジャックは命が尽きて救命胴衣もなく着衣も凍っていたので沈んだ
- ローズが乗っていたドアに乗るためにもがく体力がなかったためドアには乗らなかった
その代わり、ローズを救うことができた - ジャックの死因は凍死、低体温症
- そもそもジャックがローズの空想の人物だった仮説もある
ということがわかりましたね。『タイタニック』は何度見ても新しく気づくことがあり、おもしろいです。まさに名作ですね。人生の節目節目に観たい映画です。