【考察】千と千尋の神隠しのカオナシの正体と意味!モデルは何?

宮崎駿監督のジブリ映画『千と千尋の神隠し』でひと際不思議なキャラクター「カオナシ」の正体と意味に迫ります!

その見た目と行動からかなり奇妙なので「怖い」と思う人もいますし、何度も観てみるとどこか愛らしくも見えて「かわいい」という印象を抱く人もいる、不思議キャラですよね。

  • そんな「カオナシ」の正体は何なのか
  • 「カオナシ」が『千と千尋の神隠し』に存在する意味は何なのか
  • 「カオナシ」のモデルは何なのか

について、徹底考察しました!

目次

カオナシの言動をおさらい

重要なカオナシのシーン

カオナシの正体について考察するにあたり、カオナシが登場するシーンについておさらいしましょう。まず、

カオナシの初登場は、
千尋が人間とばれないように息をとめてハクと橋を渡るシーン

です。

実はこの橋の上でカオナシと千尋はすれ違っていたのですね。千尋は頑張って息を止めていましたが、カオナシはすれ違いざまに千尋の方を振り返っていましたから、どうやら千尋の存在に気づいていたようです。

後日の雨の夜に、千尋が雨戸を開けたときに、雨に打たれてたたずんでいるカオナシに出会い、千尋が客だと思って油屋の中に招き入れたのでした。

油屋に入ってからのカオナシの行動は、

  • 千尋が必要としていた薬の札を渡してあげる
  • 「あ…」「え…」という言葉を言いながら
    砂金を手から出す
  • 砂金をもらってくれた相手(カエルや番頭など)を食べる
    →食べることによって話す能力や表情を手に入れる
  • そのほか従業員が砂金欲しさに出してくれた豪勢な食事を
    食べまくる

といったもので、油屋の中は大騒ぎになってしまいます。

なぜ千尋を求めたのか?

砂金を出せるだけ出して人を引きつけ、豪華な食事も出してもらい、上等で気前のいい客として贅沢三昧していたカオナシは、一見なんでも手に入れたかのように見えますが、唯一手に入らなかったものが千尋です。

カオナシは、千尋をわざわざ自分のもとに呼び出し、千尋にも他の人にしたことと同様に、砂金を出して喜ばせようとします。しかし、千尋にからは

「要らない」

「私が欲しいものはあなたには絶対に出せない」

と一蹴され、カオナシはかなり動揺します。砂金を欲しがらない千尋を理解しかねる、といった反応で、その後暴れて、従業員をどんどん食べてしまいます。

カオナシがそこまで千尋にこだわって千尋を求めたのは、

自分を招き入れてくれた、つまり、「自分の居場所」を作ってくれた
存在であることへの憧れ

でしょう。

カオナシは、誰にも見向きもされない寂しい存在です。そんなカオナシに、千尋は無条件に優しく接して居場所を作ってあげた存在なのです。だからこそ、カオナシは千尋に惹かれ、もっと親しくなりたかったでしょうね。

【考察】カオナシの正体は何?

【考察①】カオナシは「人間の欲の塊」

ここまででカオナシの特徴をおさらいしてきましたが、カオナシの正体については

人間の欲

を表しているのではないか、という考察がよくされます。

ここまでで確認してきた通り、

  • 「俺ははらぺこだ。ぜーんぶ持ってこい」
    と言って、際限なく食べる
  • 「これ、食うか?うまいぞ、金を出そうか?」
    と言って、金ですべて解決する

という言動からもわかるように、

金で何でも欲しいものを手に入れようとする欲望の塊

なのです。ある意味、人間本来の姿を現していますし、金を通して周囲との繋がりを保とうとする成金主義者のメタファーとも考えらえます。お金でしか人との関わりと保てないのは、悲しいことですよね。

しかも、本当に大切なものはお金や豪華な食事なんかではないと主張する千尋には、カオナシの砂金は響かないのでした。

【考察②】カオナシは「現代の人間」の象徴

カオナシの正体は、

現代の人間の象徴

とも考察できます。

そのように考察できる

一番大きな理由はカオナシの「コミュニケーション能力の欠如」

です。

カオナシは、カエルを食べてからはいろんな言葉を話せたり、表情も少しずつ出てきましたが、それはまでは「あ…あ…」「え…」という言葉だけですし、顔も無表情なので、何を伝えたいのか全然わかりません。この点は、現代人とも共通するところがあるのではないでしょうか?

よく若者に限って話をされますが、若者だけでなく、現代に生きる人間は、生の(ライブの)コミュニケーションがやや苦手です。メールやSNSの短い言語情報だけで会話を済ませてしまい、面と向かって感情を通わせるコミュニケーションの機会は減っていると同時に、そこからの学びも減り、どんどん苦手になっているとも考えられます。

また、カオナシが、カエルの行動が気に入らず「お前、なぜ笑う、笑ったな」と言って食べてしまったり、千尋の言っていることが理解できず暴れたり、というシーンからも、

相手が自分の望まぬ言動をすると、
受け入れられず暴れる

という、現代の人間によくありがちな行動を象徴しているように思えます。

要するに、相手の言動に対して相手の立場に立って考えることができないという「想像力の欠如」から、衝動的な行動をとってしまうという問題です。

よくネットで炎上するのは、ある言葉が自分の気に障って、相手を誹謗中傷するような書き込みをしてしまうことですよね。とても短絡的で、相手の意図や思いを汲み取ろうとすることが苦手になっているのです。

【考察③】カオナシは「愛情に飢えた孤独な存在」

これは私の個人的な考察ですが、食べ物というのは、精神分析的な見方をすると、「愛情」との関連性があります。あまり深く考えなくても、

食事を与えられるということは、その相手から愛情を感じる

行為でもありますよね。つまり、カオナシが砂金を出しまくって食事を出してもらい、見境なく食べ続けるのは、ある意味「愛情に欠乏した状態」とも考えられます。周囲とのつながりがなく孤立して、愛に飢えまくっているカオナシは、

ひたすら食べることで人々からの愛情を感じ、なんとか自分を保っている

のですね。

そういう人、周りにいませんか?

カオナシが意味するものとは?

カオナシの正体やメタファーについては、少しずつ理解できてきましたが、この『千と千尋の神隠し』にカオナシという存在が登場することに、どのような意味があるのでしょうか?

まず、公式のパンフレットでは、カオナシは

油屋のある世界とは別の場所からやって来た謎の男。
己というものを持たない悲しい存在

と説明されています。

どこにも自分の居場所がない、所属するところのない、悲しくて寂しい存在なのですよね。また、

宮崎駿監督によると、

カオナシは誰の心の中にもいる

とも、説明されています。

カオナシは悲しくて寂しい存在ですが、どんな人間でもそのような寂しさは持ち合わせている、ということです。

そんなカオナシは、本作の後半で千尋と銭婆のもとを訪ねたときに、仕事を与えられて、ここにいるように、と言われます。ようやく、カオナシに居場所ができたのです。それも、千尋がカオナシがついてくることを許してあげたからですよね。

どれだけ疎まれて寂しい存在でも、周りの人の温かさや優しさがあると
居場所ができて活躍できる

のだという、意味やメッセージのようにも思えます。私たちも、孤立しているのであれば、積極的に周囲とかかわるようにして、人の温かさに触れて、自分の安心できる居場所を見つけたいですね。

怖いけどかわいい?カオナシのモデル

カオナシにはどうやらモデルが存在するようです。なんと、

カオナシのモデルは、
映画『借りぐらしのアリエッティ』を手掛けた米林昌宏監督

です。『千と千尋の神隠し』のヒット祈願イベントの時に、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが発言していました。

しかし実は、この話は後付けされたネタだったのです。鈴木プロデューサーが「自分が描いたカオナシを見て、宮崎駿監督が、まろ(米林監督のニックネーム)にそっくりじゃないか」と言ったところから、モデルではないかという噂が広まったのだとか。

カオナシに似ていると言われるのって、どんな感じなのでしょうね(^-^;

\『千と千尋の神隠し』/
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まとめ

宮崎駿監督の大ヒットジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場するカオナシの正体と意味について、詳しく考察してきました。結論としては、

  • カオナシの正体は、
    「人間の欲望の塊」「現代の人間」「愛情に飢えた孤独な存在」等と
    考察できる
  • カオナシの存在が登場する意味は、
    どれだけ寂しい存在でも周囲のやさしさで活躍できる
    というメッセージ
  • カオナシのモデルは米林監督という噂があった

ということがわかりましたね。

カオナシは『千と千尋の神隠し』のメインキャラクターではありませんが、人々を惹き付けてやまない不思議な存在ですね(*´ω`)

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