【沈黙のパレード】草薙の「もう喋るな」の意味を考察!最後は何をしていた?

ちんもく 草薙 もう喋るな 意味 考察 最後 何していた

映画「沈黙のパレード」では、草薙刑事の苦悩が描かれていますが、

  • 草薙の「もう喋るな」はどういう意味?
  • 最後のシーンで草薙は何をしていた?

と疑問を感じた方もいるでしょう。

そこで今回は、草薙の「もう喋るな」のセリフの意味と、草薙の最期のシーンについて考察します!

この記事には映画「沈黙のパレード」のネタバレを含みますのでご注意ください。

この記事の監修者
つくつく

映画鑑賞は年間100本以上映画ブログ運営4年

中学生の頃に『スターウォーズ』に感動して以降、
映画の沼にハマり続けて20年。
結婚・出産後も年間100本は必ず鑑賞中。
Filmarksアカウントにも鑑賞レビューを掲載中。

目次

【沈黙のパレード】草薙が湯川に言った「もう喋るな」のセリフはどういう意味?

「もう喋るな」の意味

映画の終盤、警視庁捜査一課の刑事である草薙が、彼の友人である物理学者の湯川の胸ぐらを掴みながら「もう喋るな」と言うシーンがありましたね。

このセリフには、草薙の被害者に対する「罪滅ぼし」の気持ちが隠されています。

結論から申し上げると、

湯川に図星をつかれて
「これ以上詮索しないでほしい」

という意味があったと思います。

言葉にするとそんなことか、という印象になりますが、草薙が湯川に掴みかかるほどまでに動揺したのは、相当な気持ちの揺さぶりがあったからです。

この気持ちを紐解くには、15年前に発生した「本橋優奈ちゃん殺害事件」まで遡る必要があります。時系列を追って、草薙の心情を確認していきましょう。

①優奈ちゃん殺害事件と草薙の関係

15年前のある日、東京都足立区に住む当時12歳の本橋優奈ちゃんが行方不明になり、その4年後に白骨遺体となって発見される事件が発生しました。

容疑者として逮捕されたのが、当時30歳だった蓮沼寛一です。

しかし、蓮沼は取り調べだけでなく裁判でも「完全黙秘」を貫き、無罪放免となります。

限りなく「クロ」に近い蓮沼が無罪となったことにショックを受けた優奈ちゃんの母親は、あろうことか自ら命を絶ってしまいました。

本橋優奈ちゃんの事件を担当したのが当時若手刑事だった草薙でしたが、

蓮沼から自供を引き出せなかったこと、そしてそのせいで被害者家族を犠牲にしてしまったことに、草薙は強い自責の念を抱きます。 

②蓮沼との再会

本橋優奈ちゃん事件で無罪となった蓮沼は、2022年、並木佐織という別の女性を殺害した容疑で逮捕されます。

被害者である並木佐織は、東京の菊野商店街にある「きくのや」を営む夫婦の長女で、歌手デビュー目前でした。

ふたたびは蓮沼の事件を担当することになった草薙は、

必ず蓮沼に自供させ、これ以上被害者家族が苦しむことだけはさせない

と心に誓います。

③蓮沼の死亡

取り調べも虚しく、佐織殺害事件でも「完全黙秘」によって処分保留で釈放された蓮沼でしたが、菊野商店街のパレードの日に、自宅の寝室で死亡しているところを発見されます。

蓮沼の殺害(当初は自供を引き出すための「脅し」のつもりでしたが)を計画したのは、被害者である並木佐織の父祐太郎とその仲間たちでした。 

蓮沼の死亡に被害者家族やその仲間たちが関与していたことを知った草薙は、

「また同じ過ちを繰り返してしまった」とショック

を受けます。

④新倉の自供

商店街の人たちが「沈黙」を続けたまま、なかなか事件の真相に辿り着けずにいましたが、ある日同じ菊野市に住む音楽家「新倉直紀」が警察に出頭しました。

新倉はわが子のように可愛がっていた佐織の無念を晴らすため、商店街の人たちの「計画」に参加した結果、誤って蓮沼が死んでしまったのだと話しました。

新倉は「蓮沼が死ぬ直前に佐織殺しを吐いた」と供述しましたが、草薙は「あの蓮沼が簡単に自白するなんて…」と違和感を覚えます。つまり、

草薙はあの蓮沼が自供するはずがない→新倉はどういうわけか嘘の供述をしている

とわかっていたのです。

⑤草薙は、真相解明より自分の過去の過ちを清算したかった

しかし、新倉の自供に不自然さは感じつつも、草薙は「事件の幕引き」を図ろうとします。

なぜなら、このまま「新倉の過失により蓮沼が死んでしまった」ということにすれば、新倉だけでなく、今回の計画を行った被害者家族やその仲間たちの罪が軽く済むと考えたからです。

草薙は佐織殺しの真相を解明することよりも、被害者家族の罪がこれ以上大きくならないことを優先したかった。

そしてそれが、

彼の過去の過ちを清算する唯一の方法

だと考えたのです。

⑥「それで本当に納得しているのか、草薙」

「新倉の過失により、蓮沼は死亡した」

これを「事件の真相」として幕引きを図りたかった草薙に対し、友人である湯川は「それで本当に納得しているのか、草薙」と声を掛けます。

蓮沼が簡単に自供するはずがないことを、草薙自身が一番よくわかっているはずだからです。

並木佐織さん殺害に関しては、被疑者死亡で不起訴。

それで本当に納得しているのか、草薙。

(中略)

彼らの罪が最小限にとどまって、ホッとしている気持ちもあるわけか。

これで終わってよかったと。

いや、これしかないと。

映画「沈黙のパレード」より引用

このセリフで図星を突かれた草薙は、湯川の胸ぐらを掴み「もう喋るな」と言います。

草薙が湯川に「もう喋るな」と言ったのは、湯川に図星を突かれたことに対する怒りではなく、自分の「過去の過ち」を精算する方法はこれしかないと考えていたからです。

しかし、後に草薙は、湯川から「決着をつけることができるのは、苦しんだ当事者だけだ」と諭されます。

真相を明らかにしないまま被害者家族の罪が軽くなっても、被害者家族や草薙自身を救うことはできないという意味ですね。過去の過ちに苦しむ草薙を救えるのは、蓮沼が真犯人であることを突き止めることだけだと、湯川は伝えたかったのだと思います。

【沈黙のパレード】草薙は最後のシーンで何をしていた?

映画の最後のシーンで、湯川と内海が電話で話していますが、そこに草薙の姿はありませんでした。

湯川から「自分を救えるのは自分だけだ」という言葉を聞いた草薙は、蓮沼が真犯人であることを突き止めるために奔走している

と思われます。

新倉との約束を果たすため

事件の真相を明らかにするのは、新倉との「約束」でもあります。

約束します。

我々警察は、蓮沼が佐織さんを殺害した事実を、必ず立証してみせます

映画「沈黙のパレード」より引用

自分の罪が重くなることを覚悟してまで自供してくれた新倉に対し、「約束を守らなければ」という気持ちが多少なりともあったと思われます。

立証できるのかなぁ…と私は観ていて現実的に考えてしまいましたが、草薙の佐織さんやその後家族を思う気持ちが伝わってきますね。

湯川への感謝

映画のラストで、内海は湯川に「草薙さんは湯川さんに感謝してると思います」と告げます。

草薙は、15年前の本橋優奈ちゃん事件以降、ずっと自責の念に苛まれ続けていました。

そして、今回の佐織殺害事件では、事件の真相をうやむやにしてまでも、自分の贖罪を優先するという「過ち」を犯しそうになりました。

しかし、それでは被害者家族も自分自身も救えないと諭された草薙は、自分の「本当にやるべきこと」に気づいたのです。

まとめ

今回は、映画「沈黙のパレード」で草薙が言った「もう喋るな」のセリフの意味と、草薙の最後のシーンについて考察しました。

内容をまとめます。

  • 「もう喋るな」は自分の過去の過ちを精算したかったから
  • 草薙は最後、蓮沼事件の真相解明に奔走している

長年にわたり、過去の失敗に苦しめられてきた草薙刑事ですが、友人である湯川の一言に救われたんですね(*^^*)!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次