大人気ジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場するハクというキャラクターは、魔法使いになるために湯婆婆に弟子入りしていますが、
- 魔法使いになりたかった理由や
- なぜ弟子入りしたのか
については、説明されていないため、疑問に思った人も多いのではないでしょうか?
そこで、ハクが魔法使いになるために湯婆婆に弟子入りした理由とその意味を徹底考察しましたので、早速見ていきましょう!
ハクが魔法使いになりたかったのはなぜ?理由を考察
もーここ好き🤤
ハク龍もハクもカッコ良すぎ🤤
千と千尋大好きだな🤤今日は荒れてますw pic.twitter.com/DA2mikbnYM
— @ (@GReeeeNBear07) January 20, 2017
ハクの過去については、釜爺が少し語っています。釜爺によると、
「(ハクは)千と同じように突然ここにやってきてな。魔法使いになりたいと言いおってな」
ということで、ハクは魔法使いになりたくて突然油屋に現れたと説明していますね。
それでは、ハクはなぜ魔法使いになりたかったのか考察します。
考察①魔法の力で川を復活させるため
本作の最後で明らかになりますが、
ハクは元々「ニギハヤミコハクヌシ」という琥珀川の神様
です。
結論から申し上げると、考察一つ目は、
自分がもともと居た川を復活させるために、
魔法使いになりたかった
というものです。
千尋はハクと出会ったのがこの琥珀川だったのですが、琥珀川はマンション建設のために埋められて無くなってしまったのでしたね。
つまり、ハクは川の神様だったのに川が埋められて居場所を失い放浪した結果、湯婆婆のいる油屋にたどり着いた、と考えられます。油屋は居場所を失った者たちが来るのですね。千尋も引っ越し中で、自分が所属する場所を失った一人です。
そしてハクは放浪するものの、千尋が引っ越しに拒否的であったのと同じように、元の世界、元の居場所に戻りたいと考えるのは自然でしょう。なんせ、神様です。長い間過ごしてきた居場所を失った喪失感は計り知れません。
考察②魔法の力で元の姿(龍)を取り戻すため
2つ目に考えられるのは、
魔法の力を得て
川の神様の姿(龍)を取り戻したかった
というものです。
ハクは基本的に人のような姿で現れていますが、銭婆の大事なハンコを盗みに行ったときや、千尋と話していて自分の名前を思い出すシーンでは龍になっていました。また、銭婆も
「ハク龍、あなたのしたことはもう咎めません」
と、ハクを「ハク龍」と呼んでいることから、元の姿は龍だと考えられます。しかし、ハクは川という居場所を失い、川の存在が無くなった以上、川を信仰してくれる人もおらず、川の神様でも無くなってしまった可能性が高いです。ただただ「元・神様」として魂が存在した結果、見た目は龍ではなく人間っぽくなったのだと思われます。
川の中を自由自在に動けた龍の姿が恋しかったのでしょう。再び、神としての姿を取り戻すことは自分のプライドを保つためにも必要なことだったと考えられます。
考察③元の神としての力を取り戻すため
最後に、この考察が一番しっくりくると個人的には思いますが、
元の神様としての力を取り戻すために
魔法使いになりたかった
ということです。
神様は、
- 人々から崇め奉られる存在
- 油屋で客としてもてなされ、尊重される存在
です。
千尋が琥珀川でおぼれたエピソードがあったように、琥珀川は人々がレジャーを楽しんだりするような、比較的人間とは身近な関係にあったと考えられます。そんなハクは居場所も神として姿も失い、それだけでなく、より精神的な「神としての威厳や力をも失った」のです。
神としての権力、というよりは、神としてのプライドを維持するために、魔法などの力を手に入れて、思い通りのことができるようになることが、一番手っ取り早かったのかもしれませんね。
ハクが湯婆婆に弟子入りする意味とメッセージ
千と千尋の神隠しで出てくる千尋、勇敢すぎると思いませんか?この映画を見た時、涙が流れでました。私、ハクの本名が未だに覚えられない…。わかる方いますか? #ジブリ pic.twitter.com/R1Ev001bU9
— ジブリ (@MarioKirbyUrara) December 26, 2021
ハクの体験は人間への自戒ではないか
ハクが魔法使いになるために湯婆婆に弟子入りしたことが何を意味するのか、を考えると、
自分が大事にしているものや価値があると思っているものを失うと
失ったものを取り返そうと執着し、
その喪失感の大きさから判断を誤ってしまう。
結果的に、当初の目的を忘れ、自分を見失う。
ということを意味していて、私たち人間たちへの自戒ではないかと考察します。
ハクは神様でも人間でもないですが、人間に置き換えて考えてみると、自分の居場所(ハクにとっての川)や自分の地位や権力(ハクにとっては神様)を突然、しかも理不尽な形で(ハクにとってはマンション建設による埋め立てで)失ってしまうと、それらを取り戻そうと固執し、結果的に熟慮しないまま判断をして誤った方向に進むことはないでしょうか。
例えば、突然の異動発令。現在の部署に長く所属していればいるほど、これまで自分が築いてきたキャリアや人間関係が失われるとしたら動揺して、新天地でも心機一転切り替えできずに、過去のやり方や過去の栄光にすがって固執してしまうかもしれませんね。
年齢を重ねることも、若さを失うという意味で喪失感は大きいですよね。若いころの美しさや体力に執着して、今のやり方で新しく学びながら進んでいくのは結構難しいことです。だからこそアンチエイジングの技術はどんどん進歩しています。
また、40~50代の管理職を見ていれば、「昔はこんなことをしていて…」と過去の話ばかり持ち出し、権力にこだわって、プライドばかりが高い人もいますよね。
千尋も、おそらく両親の仕事の都合で引っ越しが決まり、友だちや慣れ親しんだ土地とも別れることになってしまった一人です。
ハクはあまりにも自分の過去にこだわりすぎて、湯婆婆に弟子入りして魔法を教えてもらう代わりに、なんでも言うことを聞きこき使われるという、とんでもない契約を結んでしまったのです。その結果、ハクは名前を失い当初の目的を忘れ、判断することもできず、ただ盲目的に湯婆婆に従う状態になったのですね。
ハクが伝えたいメッセージは?
『千と千尋の神隠し』という映画に流れる大きなテーマは「人間の欲望」だと考えます。誰しもが過去にすがりたい気持ちは持っていて、それは自然なことではあるけれど、
過去の自分だけではなく、今現在、新しい世界にも目を向けないと
進むべき道を見誤る
というメッセージを、ハクは伝えてくれていると、個人的には思います。
ハクは神様でもなくなったし人間でもないですが、そういう自分も受け入れて、新たな土地でできることをやっていけたら、それでいいのです。ハクは千尋を助けるという大きなミッションを成功したことによって、自分自身を取り戻しましたね。ハクは、自分の直感を信じて、「千尋という人間を助けなくては」ととっさに思ったのでしょう。結果その行いが自分に良い形で返って来ました。
ハクは自分がしてきたことを反省しているようでしたが、私たち人間もいつでもやり直せるんだという、希望を持てる結末になっていると思います。
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まとめ
大ヒットジブリ映画『千と千尋の神隠し』に登場するハクが、なぜ湯婆婆に弟子入りして魔法使いになりたかったのか、について理由と意味を考察してきました。結論としては、
- ハクは神様としての居場所や姿、力を取り戻すために魔法が使いたかった
- ハクのように過去や力にこだわったら道を誤ることがある、という
人間への自戒の意味
と、考察しました。
あくまで考察ですので、いろんな見方が合って当然で、正解不正解はないと思います。それでも意味を深読みしてみるのは楽しいですよね♪