1979年に公開されたアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』。
宮崎駿が初めて劇場版アニメの監督を務めた本作は、冒険とロマン、そして社会風刺を巧みに織り交ぜた名作として、今も根強い人気を誇っています。
そんな本作の中でも、次元大介が発する「ウォンまであるぜ!」というセリフは、観る者に強烈な印象を残します。
一見すると何気ない驚きの一言ですが、そこには時代背景や国際情勢、そして宮崎駿監督の演出意図が込められているのです。
この記事では、「ウォンまであるぜ」の意味を徹底的に掘り下げ、その奥深さに迫ります!

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「ウォンまであるぜ!」はどんなセリフ?どんな意味?
📺今夜の「金曜ロードショー」
— ORICON NEWS【アニメ】 (@oricon_anime_) June 26, 2025
『ルパン三世 カリオストロの城』ノーカットhttps://t.co/AMvplDwuuR
ルパン三世:山田康雄
峰不二子 :増山江威子
次元大介 :小林清志
石川五ェ門:井上真樹夫
銭形警部 :納谷悟朗
クラリス :島本須美
カリオストロ伯爵:石田太郎 ほか@kinro_ntv pic.twitter.com/yzIPW30R2d
次元のセリフが登場する場面とは
#大阪万博で建設してほしかったパビリオン
— 帽子屋/積みゲー消化したい (@madha5) April 14, 2025
カリオストロ城。
偽札工場、地下牢獄、オートジャイロも是非。
ほぼアミューズメントパークのアトラクション会場(笑) pic.twitter.com/d24xkatpMv
物語の中盤、ルパンたちはカリオストロ公国の地下に潜む偽札工場に潜入。
そこでは、世界中の通貨が精巧に偽造されており、そのスケールの大きさに次元大介が思わず発したのが「ウォンまであるぜ!」という一言です。
- 偽造されていたのは、ドルやポンド、円などの主要通貨だけでなく、韓国ウォンまたは北朝鮮ウォンと推察されるマイナー通貨も。
- 次元のセリフは、その“網羅ぶり”に対する驚きと呆れ、さらには皮肉も込められた名セリフです。
セリフが示す3つのポイント
- 偽札の網羅性
世界中の通貨を偽造しているという、カリオストロ公国の犯罪組織としての徹底ぶりを象徴。観客に「どれほど大規模な犯罪なのか」を印象づけます。 - 次元のキャラを際立たせるセリフ
皮肉とユーモアを交えた一言で、クールな次元大介のキャラクター性を引き立てます。 - 観客の印象に残る“違和感”演出
日本人にとって馴染みの薄い「ウォン」をあえて強調することで、「そんな通貨まで!?」という驚きを生み、印象に残るシーンに仕上げています。
カリオストロ公国の偽札「ゴート札」とは?
#印象的な映画の小道具
— しゃーくふかまち (@3veCcazjPT3wVbM) March 31, 2025
ルパン三世カリオストロの城のゴート札 pic.twitter.com/VOj9kUwRGL
ゴート札の設定と偽造通貨の種類
カリオストロ公国が極秘裏に製造していた偽札は「ゴート札」と呼ばれ、作中では世界最高レベルの偽札とされています。
- 偽札製造は400年にわたって続いてきたという設定。
- 世界中の通貨が精巧に偽造され、ブラックマーケットなどに流通していた。
作中で描かれた偽造通貨の例:
- 日本円
- アメリカドル
- 英ポンド
- フランスフラン
- 西ドイツマルク
- ソ連ルーブル
- イタリアリラ
- インドルピー
- スペインペソ
- スウェーデンクローナ
- 韓国または北朝鮮のウォン
「ウォン」も偽造された理由
ウォンの変動相場制が始まったのは、Wikipediaによると1980年
— 遠野@カクヨムでオリジナル小説はじめました (@toNo_ddd) May 5, 2023
で、「カリオストロの城」の公開が1979年。切り下げは始まっているけどギリ固定相場の時期
こういう知識があると映画ひとつ見るのも違った楽しみがあるだろうなぁ…勉強になる。 https://t.co/8mVstiYn0j pic.twitter.com/cwfDIWg9xf
経済規模にかかわらず、裏社会での影響力があった:
たとえ日常的な利用が少なくても、マネーロンダリングや政治的な取引には使われていた可能性。
東側諸国との関係:
冷戦下の1979年、ウォンは東側陣営の象徴の一つ。ソ連ルーブルと並んで、社会主義国の通貨を偽造していたことには政治的な意味も含まれていたと考えられます。
1979年当時の時代背景とセリフの関係性
#皆が忘れ去っていた驚愕の設定
— 特務ヴィヴィアン アテル (@Koutuki_Atelu) December 14, 2023
ルパン三世 カリオストロの城の時代背景は1968年の話である。 pic.twitter.com/UL6W5ej9eh
冷戦構造と通貨
日々流れてくるロシアの嘘声明、そんな子どもでもわかるウソを国のエライ大人が言うんだ!って思うかもしれないけど、冷戦時代のソ連もそんなこと日々平気で言ってたのよ。批判されればそれは西側のせい、って。
— 東京 野良桜™ 小野寺宏友 (@nora_zakura) April 8, 2022
ほら『カリオストロの城』のインターポール会議のシーン… pic.twitter.com/ZZHhG6keAQ
1979年はまさに冷戦真っ只中。
世界はアメリカを中心とする西側陣営と、ソ連・中国・北朝鮮などの東側陣営に分かれていました。
- 韓国ウォン:西側陣営である韓国の通貨
- 北朝鮮ウォン:東側陣営の代表的通貨
この「ウォン」が偽札として登場すること自体が、東西冷戦の緊張感や、そのどちらの陣営にも関係なく“金で動く世界”の存在を示唆しています。
日本国内でのウォンの印象
- 1970年代後半の日本では、ウォンは一般的に流通しておらず、多くの人にとっては「未知の通貨」だった。
- そのため観客は「ウォンまであるのか!」というセリフに素直に驚き、同時にその背景にある国際的な闇を自然と連想させられたのです。
社会風刺としての側面
今夜恒例のカリ城。カリオストロ公国の火器設定が無茶苦茶で大戦中の独軍MP40、MG34とソ連軍PPD-40、PPSh-41(マンドリン)が混在していたり、次元はソ連製シモノフPTRS1941を使っている。当時タミヤニュースに挿絵を描いていた大塚さんの完全趣味だねw#ルパン三世 #カリオストロの城 #大塚康生 #宮崎駿 pic.twitter.com/zfySfOygGz
— ソリタカ (@solitaka) May 5, 2023
宮崎駿監督は社会風刺を巧みに織り交ぜる演出で知られています。
- 「ウォンまであるぜ!」というセリフは、単なるユーモアではなく、「国境も政治体制も関係なく、金の力が世界を動かしている」ことを皮肉っているとも解釈できます。
- 偽札というテーマ自体が、国家の信用や経済システムへの風刺となっており、その象徴的セリフが「ウォンまであるぜ!」なのです。
セリフの演出意図とキャラクターの魅力
#映画の中のこんなメシ屋で食べてみたい
— わむ (@ys3yRT3XhhgjOkC) May 21, 2024
ルパン三世カリオストロの城で、ルパンと次元がミートボールパスタを食べたディンギル帝国いやカリオストロ公国の食堂。 pic.twitter.com/Zk7GBlfXkB
宮崎駿監督による仕掛け
- 宮崎監督は、世界観にリアリティを持たせながらも、そこにさりげない笑いや違和感を織り交ぜる名手です。
- 「ウォンまであるぜ!」は、その最たる例。世界の広さや犯罪のスケール、そしてユーモラスな驚きをたった一言で表現しています。
次元大介というキャラとの親和性
#食べてみたい映画飯
— TABI (@The_InKey_81Ue5) October 22, 2024
カリオストロの城で次元大介が食べてたカップうどん pic.twitter.com/AF5zpY6kyC
- 冷静沈着で皮肉屋な次元だからこそ、「ウォンまであるぜ!」というセリフが自然に聞こえ、観客にもスッと入ってくるのです。
- もしルパンが同じセリフを言ったら、やや軽すぎたり、おどけた印象になったかもしれません。
よくある疑問
アニメ映画
— 脱九州フリーター目標 (@otakunoshiten) February 14, 2025
『ルパン三世 カリオストロの城』
ルパンと次元は偽札「ゴート札」の謎を追いカリオストロ公国へ。伯爵の陰謀を知り、王女クラリスを救うため奔走する。財宝の秘密、銭形の追跡、伯爵との対決が絡み合い、物語は波乱の展開へ。 pic.twitter.com/7GVcGGgj9x
Q.「ウォン」とはどこの通貨?韓国?北朝鮮?
A. 作中では明言されていませんが、当時の国際情勢を踏まえると、両方の可能性を想定した演出と考えられます。特に北朝鮮ウォンであれば、冷戦下の「敵国通貨」まで偽造しているというインパクトがより強まります。
Q. なぜこのセリフだけが有名に?
A. 一般的に知られていなかった「ウォン」が出てくることで、観客に強い印象を与えたからです。また、国際情勢や経済構造への暗喩が込められているため、解釈の幅が広く、今も語られ続けているのです。
Q. どのバージョンでもこのセリフは同じ?
A. はい、基本的には劇場公開版、テレビ放送版、Blu-ray版のいずれでも「ウォンまであるぜ!」というセリフは同じです。ただし、字幕・吹替により若干ニュアンスが異なることはあります。
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まとめ|「ウォンまであるぜ」は“笑って終わる”だけじゃない
『ルパン三世 カリオストロの城』
— Akira.H (@zaitession) February 23, 2024
ルパン三世を妻が全く見たことがないと言うので、家でキャラクターを説明しながら、一緒に観ました♪
宮崎駿監督の丁寧な描写を随所に感じる作品でいいですね。妻は、ルパンと峰不二子の関係がわからないと言いつつも「峰不二子カッコいい」を連呼😁楽しんでました♪ pic.twitter.com/FNoAtnNyew
『カリオストロの城』に登場する「ウォンまであるぜ!」は、たった一言ながら、映画のテーマ、キャラクター、時代背景、そして社会風刺のすべてを凝縮した名セリフです。
この一言には、
- 犯罪ネットワークの広がりとスケール感
- 冷戦下の国際的な緊張関係
- 宮崎駿作品特有のユーモアと風刺
- キャラクター性の巧みな表現
が詰まっています。
観るたびに新しい発見があり、40年以上経った今もなおファンの間で語り継がれる理由がよく分かります。
次に『カリオストロの城』を観るときは、ぜひ「ウォンまであるぜ!」のシーンに注目してみてください。
そこには、ただの驚き以上の深い意味が込められていることに気づくはずです!