1979年に公開されたアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』は、その完成度の高さから長年にわたりアニメファンの心をつかみ続けている不朽の名作です。
しかし、この作品が「スタジオジブリの映画」と誤解されることも少なくありません。
果たして、『カリオストロの城』はジブリ作品なのか?なぜジブリと結び付けられるのか?
その疑問に、本記事では徹底的に答えていきます!

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「カリオストロの城はジブリ作品なのか?」に答える
正式なジブリ作品ではないが、深いつながりがある
祝!モンキー・パンチ原作、宮崎駿初監督、大塚康生作画監督、小林七郎美術、大野雄二音楽、東京ムービー新社制作 オリジナル劇場アニメ『ルパン三世カリオストロの城』劇場公開記念日(1979年12月15日) pic.twitter.com/GcMgVbnPT3
— ジノン@TEAM KADZ! (@jinon4218) December 14, 2024
結論から言えば、『ルパン三世 カリオストロの城』はスタジオジブリの正式な作品ではありません。
この映画は、東京ムービー新社(現在のトムス・エンタテインメント)によって制作され、1979年に公開されました。
一方、スタジオジブリが設立されたのは1985年であり、ジブリの前身とも言えるトップクラフトが『風の谷のナウシカ』(1984年)を制作した後に誕生しています。
そのため、ジブリ設立以前の作品である『カリオストロの城』は、制作上も公式上もジブリ作品には該当しません。
ジブリ作品と誤解される3つの理由
1. 宮崎駿の劇場用初監督作品である
ルパン三世 カリオストロの城。
— いしひで (@heavenspophead) May 16, 2025
宮崎駿監督作品。
もう大名作‼️💪✨ボク的に…笑
当時観てあまりに良くてハマった。
本当にクラリスみたいな女性いるかな〜❓って白のブラウス、紺のスカートの人を街出て探したくらい。笑
ジブリの全作品よりこれが好き。 pic.twitter.com/RPk1McgmBk
『カリオストロの城』は、宮崎駿監督が初めて劇場用映画の監督を務めた記念すべき作品です。
宮崎駿という名前が、その後スタジオジブリの顔として定着したことで、「宮崎監督作品=ジブリ作品」というイメージが一般にも浸透していきました。
結果として、『カリオストロの城』もジブリ作品の一部と誤認されるようになったのです。
2. 共通スタッフと「ジブリ的」演出
大塚康生展 ルパン三世 カリオストロの城 pic.twitter.com/NaxxovP9UR
— こんにゃく (@honnyaku_blog) May 17, 2025
この作品には、後のジブリ作品に深く関わるスタッフが多数参加しています。
- 作画監督:大塚康生(『未来少年コナン』などでも宮崎監督とタッグ)
- 美術監督:小林七郎(精緻な背景描写で有名)
また、クラリスというヒロイン像は、ナウシカやシータ、キキといった「宮崎ヒロイン」の原型ともいえる存在です。
誠実で芯がありながらも守られる存在として描かれる彼女のキャラクターは、まさに“ジブリ的”。
こうした人物描写やストーリーテンポ、自然描写の美しさなどが、ジブリ作品と通じる部分が多いのです。
3. ジブリブランドでの流通・再販
『ルパン三世 カリオストロの城』
— 石川弘大(いしかわこうだい) (@ko_dyn_0608) June 16, 2025
父親がルパンとジブリが好きだったので何回も観た。後のジブリ作品にも通ずる作画やアクションが良い。ワクワクしながら最後まであっという間に楽しめる。最後の銭形警部の有名なセリフとルパンの盗んだものがカッコいい。#ルパン三世 #カリオストロの城 #kodymovie pic.twitter.com/Q9SVlJKf1q
近年、ジブリ作品として『カリオストロの城』が扱われるケースが多くなってきました。
たとえば:
- 「ジブリ映画祭」や「金曜ロードショー」などでジブリ作品と一緒に放送される
- ジブリ作品と並んでBlu-rayやグッズが販売される
- ジブリの展示会や関連イベントで紹介される
これらの宣伝・流通の場面で“ジブリ括り”されることにより、一般層でも「ジブリの一作」として認識されるようになったのです。
「カリオストロの城」はジブリの“原点”か?
スタジオジブリ前夜の試金石
【告知】
— 紅月(べにづき)🤠 ニックネームはベニーとかベニさん…外人さんからはヴァイニヅゥーキィー🤭 (@benizuki0720) June 22, 2025
今週27日(金)放送の金曜ロードショー『ルパン三世・カリオストロの城』の同時視聴配信2を行います✨️✨️
2度目の同時視聴配信となりますが、改めて喋ります🤭
⚠この配信では『カリオストロの城』を観る事は出来ません🙇#金曜ロードショー#ルパン三世#カリオストロの城#ジブリ pic.twitter.com/G6kyI3xwhy
『カリオストロの城』は、ジブリの作風が形作られる直前の“試金石”のような作品です。
- ヒロイン・クラリスに見られる“少女と冒険”の構図
- 複雑でリアルな建築背景、細やかな作画
- ユーモアとアクションのバランス感覚
- 「正義とは何か」「人を救うとは何か」という普遍的な問い
こうした要素は、後に『ナウシカ』『ラピュタ』『もののけ姫』といったジブリ作品にも継承されていきます。
ナウシカへ、そしてジブリ設立へ
スタジオジブリ設立40周年おめでとうございます🎉
— ジブリまみれ (@ghiblimamire) June 15, 2025
「少女の愛が奇跡を呼んだ」
「ある日、少女が空から降ってきた…」
「4歳と14歳で、生きようと思った。」
「このへんな生きものは まだ日本にいるのです。たぶん。」
「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです。」
「私はワタシと旅にでる。」… pic.twitter.com/GDJpvcEked
『カリオストロの城』の制作現場で、宮崎駿監督は雑誌『アニメージュ』の編集長・鈴木敏夫と出会います。
この出会いが、のちの『風の谷のナウシカ』連載へとつながり、最終的にはスタジオジブリの設立へと発展します。
つまり、『カリオストロの城』は「宮崎駿とジブリ」の物語の幕開けでもあるのです。
なぜ今も「ジブリ作品」として語られるのか?
視聴者の記憶とブランド戦略
#神武以来の天才だと思う映画人
— ハードボイルド・ニキ (@DIO78507651) June 20, 2025
宮崎駿 pic.twitter.com/3Lo1VEMhsa
ジブリというブランドは、宮崎駿監督=ジブリという図式で多くの人に認識されています。
そのため、監督が同じであれば「ジブリ作品」として受け取られやすくなります。
これは、作品自体のブランディング力とも言えます。
また、テレビ放送や再上映の際に「ジブリ特集」として紹介されることで、視聴者の記憶に“ジブリ映画”として刻まれていくのです。
コンテンツマーケティング的な都合
やっぱジブリブランドすごいな… pic.twitter.com/KzXL5hBZkZ
— 🌺🍹🐠ややあやや🌺🍹🐠 (@yayaayaya_owari) July 6, 2023
流通面でも「ジブリ作品」とまとめて販売した方が訴求力が高いという判断から、ジブリブランドに含まれるような展開がされてきました。
ジブリファンにとっても、ジブリ前夜の作品が見られるという“お得感”があり、双方にメリットがあるため、こうした扱いが続いているのです。
ナウシカやコナンはジブリ作品?似た例と比較
ちょっとくどいようだけど、探偵の方のコナンも凄いと思うけど、未来少年の方のコナンも本当に凄いアニメなんだよ…。
— ひら🍀🍭 (@khara_9hiratmrn) May 10, 2020
42年前だなんて思えないくらい。序盤から観る者を惹きつける秀逸なストーリー展開。。ナウシカとラピュタの基礎がこの作品にある…。 pic.twitter.com/ftKKnwpsXf
作品名 | 制作会社 | 公開年 | ジブリとの関係 |
---|---|---|---|
未来少年コナン | 日本アニメーション | 1978 | 宮崎駿監督作、ジブリ前 |
カリオストロの城 | 東京ムービー新社(TMS) | 1979 | 宮崎駿初映画監督作 |
風の谷のナウシカ | トップクラフト | 1984 | 実質ジブリ設立のきっかけ |
天空の城ラピュタ | スタジオジブリ | 1986 | 正式なジブリ第1作 |
このように、「ジブリ作品か否か」は単に制作会社で判断するものではなく、監督の作家性や作品の持つ空気感も関係しているのが実情です。
よくある疑問
Q1. 『カリオストロの城』はジブリ作品なの?
A. 正式には違いますが、宮崎駿監督の作家性や世界観が強く反映されており、“ジブリ的”とされることが多いです。
Q2. なぜジブリ名義で売られているの?
A. ブランド戦略やファンへの訴求力を考慮し、ジブリ関連作品として流通させる方が効果的とされているためです。
Q3. 『ナウシカ』や『未来少年コナン』もジブリ作品?
A. 制作時点ではジブリは存在していませんが、後年の展開や作品の系譜から“精神的ジブリ作品”として扱われています。
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まとめ|ジブリではない、でも「ジブリ的」であり続ける
名作だった「カリオストロの城」のルパン、クラリスに対して泣けるぐらい良いおじさまでした。
— ヒデオ (@luky77733) June 21, 2025
(ラストシーン)
「私も連れてって、泥棒はまだできないけど、きっと覚えます」
このセリフが、胸を打たれます。
感情を抑えるルパン。🥹
優しい🩵
今日も良い一日を❗️🌈✨☕️ pic.twitter.com/cYY0UrE2gi
『ルパン三世 カリオストロの城』が「ジブリ作品」と見なされる理由は、以下の要素が複合的に絡み合っているためです。
- 宮崎駿監督の劇場用初監督作であること
- ジブリスタッフとの共通性と、後のジブリ作風の原型が見られること
- 流通・放送においてジブリブランドで扱われていること
正式にはスタジオジブリ制作ではありませんが、“ジブリの原点”であることは間違いありません。
作品の魅力や完成度の高さ、そしてその後の日本アニメ界に与えた影響を考えれば、ジブリと共に語られるべき一本です。
今夜、あのクラリスの「ルパン!」をもう一度聞きたくなったあなた――ぜひ、ジブリの精神を宿したこの傑作を再鑑賞してみてはいかがでしょうか?