映画『君たちはどう生きるか』は、宮崎駿監督の集大成とも言われる一作であり、その中には数多くの象徴や暗喩が散りばめられています。
なかでも「石」というモチーフは、劇中のあらゆる場所に登場し、意味深な存在感を放っています。
とりわけ「墓の主が持っていた石」や「13個」という数の意味は、観客の間でも多くの考察を呼んできました。
本記事では、『君たちはどう生きるか』における石の象徴性と、それが問いかけるメッセージ、そして13という数字に隠された意図について、徹底的に掘り下げていきます。
ジブリの映画『君たちはどう生きるか』を観ると、元ネタの『君たちはどう生きるか』も気になってきますね!内容はかなり違いますが、映画がインスピレーションを受けたのは間違いないようです!

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映画鑑賞は年間100本以上・映画ブログ運営4年
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石の意味を掘り下げる|君たちはどう生きるかにおける「石」の象徴性とは?
「君たちはどう生きるか」鑑賞。歴史を築いた巨匠だけに許される実に独善的な映画である。大叔父(宮崎)は、長年支配した建造物(作品世界)から、石(意思)の欠片を持ち去って新たな歴史を築けと次世代に遺言を残したのか。娯楽性を抑え敢えて説教臭く、そして堂々と。巨匠ならばそれもいいではないか。 pic.twitter.com/Mh8ZNx9iP9
— 阿乱隅氏 (@yoiinago417) July 22, 2023
石は“意思”を示す記号だった?
『君たちはどう生きるか』に登場する「石」は、単なる無機物ではなく、「意思=意志」を内包するものとして描かれています。
特に印象的なのは、主人公・眞人が大叔父の積み木を見たときに発した言葉。
「それは木ではなく墓と同じ石です。悪意がある」と断言するシーンは、石が持つ“他者との断絶”や“冷たさ”を象徴していると同時に、眞人自身の内面の葛藤や拒絶の現れでもあります。
石は感情を持たない存在として描かれる一方で、それを扱う人間の「意志」が石に反映されることで、物語上の意味を持ち始める。
つまり、石そのものではなく、それをどう扱い、どう積み上げるかという「姿勢」が、作品の根幹を成しているのです。
石と木の対比が映す人間関係の断絶
『君たちはどう生きるか』2回目鑑賞
— ウサ@読書・映画垢 (@Usakichi325) October 9, 2023
1回目が90点なら、2回目は百万点ぐらいの感動。物語に完全に没頭。
本を読んで世界が開けた彼と、読みすぎて変になった彼の対比が好き。
自分の人生を生きることの大切さ。
同行の小学生はキャラの動きだけで爆笑。宮﨑駿監督はやっぱりすごいと思った。 pic.twitter.com/gwQrEzzvsS
映画の中で石は木としばしば対比されます。
木は「関わりあうもの」とされ、育ち、広がり、他者と結びつく存在。
一方で石は「関わらないもの」「切断されたもの」として位置づけられています。
眞人が拒絶する積み木の正体は木ではなく石。
つまり、彼が感じ取っているのは、血縁の中に潜む断絶や、過去から引き継がれた閉じた世界の象徴でもあるのです。
この対比構造は、映画全体のテーマでもある「どう生きるか」という問いと密接に結びついています。
他者と関わることにリスクがあると知りながら、それでも関わろうとする“木”的な生き方を選ぶのか、それとも他者と断絶し、“石”のように独立した存在として生きるのか。
観客にもまた選択が迫られます。
石の登場シーンと意味のバリエーション
君たちはどう生きるか、偶然に沢山古代日本の歴史ビデオを見ているから、すぐに「支石墓•Dolmen」を気付いた!
— パさん (@mokomokoou) October 7, 2024
とても面白い話がある、朝鮮半島と満州から何回も人間は日本列島を移住したから、縄文民族と弥生民族は同じだと言えないかも。九州にも支石墓にあるから、古代朝鮮半島の文化も来たかも pic.twitter.com/h2cS7koQ0D
『君たちはどう生きるか』では石がさまざまな場面で登場し、それぞれ異なる文脈で意味を持ちます。
- 原っぱで拾った白い石:無垢の象徴であり、眞人が自ら選んだ「記憶」
- 頭を打った石:現実との痛みある接触、肉体的な「目覚め」
- ナイフを研ぐ石:再生と変化の予兆、道具を鋭くする“準備”の象徴
- インコの塔や墓の石造り:閉じた世界、死者の記憶、再生の空間
これらは単に舞台装置として機能しているわけではなく、
「どんな石に意味を込めるか」という選択そのものが、眞人や登場人物たちの“生き方”に直結しているのです。
なぜ「13個」なのか?|数に込められた象徴とメッセージ
君たちはどう生きるか 小ネタ⑤
— シネマの染み:映画に何を見た?🎥 (@rorschach_movie) July 15, 2023
13個の積み木(まだ12個)
宮崎駿監督の長編アニメーションが12作品#君たちはどう生きるか #ジブリ#宮崎駿 pic.twitter.com/Yrf8NCcvAm
宮崎駿監督作品との一致──石と作品年表の対応
映画の中で明示される「13個の石」。
この数について、最も有力とされている説が「宮崎駿監督の長編映画作品数」との関連です。
実際、『君たちはどう生きるか』は監督の12作目にあたります。
残る1つ──13個目の石は、これから生まれるかもしれない「未来の物語」を象徴していると解釈できます。
石の数 | 作品タイトル |
---|---|
1 | ルパン三世 カリオストロの城 |
2 | 風の谷のナウシカ |
3 | 天空の城ラピュタ |
4 | となりのトトロ |
5 | 魔女の宅急便 |
6 | 紅の豚 |
7 | もののけ姫 |
8 | 千と千尋の神隠し |
9 | ハウルの動く城 |
10 | 崖の上のポニョ |
11 | 風立ちぬ |
12 | 君たちはどう生きるか |
13 | 未来の作品? |
このように見ていくと、13個目の石は「これからを担う世代の物語」「新しい創造への道しるべ」として設置されていることが読み取れます。
8個の石との対比──高畑勲監督との対話構造
宮﨑駿が「13個の穢れていない石」に託した思いとは
— NiEW(ニュー) – 音楽とカルチャーのオルタナティブメディア (@NiEWJP) August 14, 2023
世界と自らが抱える悪意に向き合うこと。そのために我々はどう生きるのか。宮﨑駿が自身を投影させ、過去作のオマージュを散りばめた『君たちはどう生きるか』を解説https://t.co/wwJRDT6pBM
一方で劇中には「8個の石」も登場します。
これは、
高畑勲監督の長編作品数と一致する点が注目されており、8個=高畑、13個=宮崎という対比構造を意図しているという考察もあります。
二人が築いてきたスタジオジブリという世界の“土台”を、石の数で象徴しているのです。
このような数の構造は、単なる演出ではなく、世代間の継承や意志のリレーを視覚的に伝えるためのメタファーとして強く機能しています。
「13」という数字そのものが持つ多義性
君たちはどう生きるか(2023)
— ハリー 55 (@Harry3784) August 12, 2023
重たいタイトルが突き付けられる。やはり宮崎先生には着いて行けなかった。次々に思わぬ場面が展開されて思考を巡らしている暇がない。眞人とアオサギの関係性、13個の石。難しかったけれど今、何か大切なことを見失っていないか?見直しても到達できそうにない奥の深さ。 pic.twitter.com/7Fcn4G8DQS
さらに13という数字には、文化的・宗教的な意味合いもあります。
西洋では「不吉な数字」とされる一方、東洋やスピリチュアルな文脈では「完全性」「再生」「循環」などの肯定的意味も持ちます。
この“相反する象徴性”を持つ13という数字を用いることで、宮崎監督は「世界の不確かさ」や「未来の予測不可能性」、それでも前に進む希望を同時に語ろうとしたのかもしれません。
石の建築物と構造物|塔・墓・産屋に見る石の重層性
英語タイトル更新しました🙌
— 久石譲ファンサイト 響きはじめの部屋 (@hibikihajimecom) December 13, 2023
『君たちはどう生きるか』久石譲
08.青サギ III
12.Ask me why(母の思い)
17.ワラワラ
29.祈りのうた(産屋)
『The Boy and the Heron』Joe Hisaishi
08.Gray Heron III
12.Ask Me Why (Mother’s Message)
17.Warawara
29.A Song of Prayer (The Delivery Room)
ほか pic.twitter.com/Ay60FInHVg
石の塔が象徴する世界の境界と通過儀礼
劇中に登場する石の塔は、現実世界と異世界をつなぐ「門」のような役割を担っています。
塔という建築物は古来より、「上昇」「孤独」「精神性」などを象徴してきました。
『君たちはどう生きるか』では、この塔が“異世界への入り口”であると同時に、眞人が精神的に成長していくための「通過儀礼」の象徴として描かれています。
石でできた塔は、崩れにくい強固な構造であると同時に、感情や関係を排除した無機的な存在でもあります。
つまり、この塔を通るという行為は、「自己との対話」「孤独な旅路」「創造への覚悟」を象徴しているといえるでしょう。
産屋と墓に見る“死と再生”の循環構造
また君たちはどう生きるか見て来た。何度見ても難解。分からない場面は各々が解釈するしかない。大叔父とは高畑勲監督の化身で作った世界が純粋ゆえに崩壊して宇宙にのまれる。けど眞人は悪意があるため現世に還り生きていく決意をする。死と再生の物語。宮崎駿監督の心は今も少年というのは分かる。 pic.twitter.com/4hgBVSfFFD
— ベッチー村上(ニセコナン) (@nisekonan) January 14, 2024
また、
石でできた産屋と墓は、物語の中で極めて象徴的な役割を果たします。
産屋は新しい命を育む場所であり、墓は命が終わる場所。
この二つが石によって同一線上に語られることで、「死と再生」のサイクルが強調されます。
この構造は、宮崎監督が一貫して描いてきた「命の連続性」や「生命の尊厳」にも通じます。
石は変わらないようでいて、実は時間を内包する存在。墓の石も産屋の石も、そこに生きた者たちの記憶と意志が刻まれています。
石は本当に“無垢”なのか?刻まれた善悪と記憶
一見すると無機質で「無垢」に思える石ですが、本作においては「人の記憶」や「悪意」すら刻まれるものとして描かれています。
眞人が「悪意の石」と呼んだもの、あるいは大叔父が積み上げる“石の世界”は、必ずしも中立ではなく、それを扱う人の心が反映されるものです。
つまり石は、外的には無表情でも、内的には非常に複雑で感情的な“記憶装置”のような存在。
そのため、石をどう見るか、どう扱うかによって、善にも悪にもなりうるのです。
石と生き方の関係|君たちはどう生きるかという問いへの返答
家にあった #吉野源三郎 の #君たちはどう生きるか を読んでみた。小説と映画は関係ないとはいえ、コペル君と眞人君は境遇も考え方も重なる部分が多いにあって、君たちはどう生きるかの問いが清々しいラストだった。ここで #地球儀 流れてもおかしくない!コペルニクスからついたあだ名だし🌍🪐 pic.twitter.com/u1es9VI0cS
— 米は玄米 (@come_wa_genmai) August 23, 2023
「悪意の石」と「無垢の石」──選択の象徴としての石
『君たちはどう生きるか』において、眞人が向き合うべき試練の一つが「石の選択」です。
映画終盤で彼が直面するのは、「悪意の石」と「悪意のない石」、あるいはそれに見合う人生の方向性を選ぶこと。
この選択は、観客に向けての問いかけでもあります。
あなたは、他者を傷つける力を持った石を取るのか、それとも、穏やかに積み上げるための石を選ぶのか。
この場面は、石が“生き方”そのものであることを強調しています。
石は変わらずそこにありますが、選ぶ人間の姿勢次第で善にも悪にもなりうる。
このメッセージは、「どう生きるか」という本作のタイトルと見事に呼応しています。
石=選び取る生き方の形そのもの
ジブリ映画・宮崎駿監督最新作『君たちはどう生きるか』は、将来や生き方に悩みはじめた子にこそ響く作品。将来の仕事、高校、学校の成績に少しずつ関心を持ち始めた娘に見せてみたい。そして感想を聞いてみたい。
— ひろ|駆け出しブロガー (@hiro_4530) April 10, 2025
・自分の良心とどう向き合うか
・不条理な世界でどう生きるか… pic.twitter.com/yK8uurJ7Vu
石の形や色、大きさは一様ではありません。まるで人間の個性のように、多種多様です。
眞人が手にする石が彼だけのものであるように、誰もが自分にしか積めない石、自分にしか創れない物語を持っているのです。
大叔父が語る「意思を持って石を積める者こそ、世界を継ぐ者である」というセリフには、個々人の“生き様”への信頼と責任が込められています。
石をどう積むか、それは“どう生きるか”の具体的な実践なのです。
映画を観終えた後の“問いの継続”としての石の意味
おはようです☀️23年もうすぐベスト10!
— ウォーケンuzedit (@uzedit1) December 21, 2023
今日は「君たちはどう生きるか」
宮崎駿大先生から生き方を教わりに行ったら、オレはこう生きた!と一方的に言われるだけの奇妙キテレツな映画でした🤣
まるで晩年のクロサワを思わせるこの怪作、私はめちゃくちゃ好きですw pic.twitter.com/iR9c4Lr2HD
『君たちはどう生きるか』のラストは明確な答えを提示しません。
それどころか、新たな問いを観客に残して終わります。石のモチーフはその象徴であり、映画を離れてからも心に残り続ける存在です。
どんな石を選ぶかは、誰かに決められるものではなく、観る者一人ひとりが自ら決断するべき問い。
つまり映画の中だけで完結しない“生き方の継続”が、石というシンボルに込められているのです。
ジブリの映画『君たちはどう生きるか』を観ると、元ネタの『君たちはどう生きるか』も気になってきますね!内容はかなり違いますが、映画がインスピレーションを受けたのは間違いないようです!

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まとめ|「君たちはどう生きるか」の石と13個の謎
ばかばかしい知ったか話をおひとつ…
— 宮野入羅針 (@mynir_1110) February 3, 2024
宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』で13個の積木の話の真偽を知っている方はお見えでしょうか?
シーンを説明致します
異次元の創造主の前に球体やら三角錐や円筒やらの13個の積木がギリギリのバランスで積みあげらています つづく pic.twitter.com/H8z8LL5NAD
『君たちはどう生きるか』における石は、「意思」「記憶」「創造」「死と再生」など、実に多層的な意味を持つ存在です。
墓の主が手にしていた石は、単なる遺物ではなく、未来をつくる者へ託された“バトン”とも言えます。
13個の石というモチーフには、以下のような解釈が重なり合っています:
- 宮崎駿監督の長編作品数との対応
- 未完の物語と次の世代への継承
- 「13」という数字の持つ文化的・象徴的多義性
そして、石そのものが問いかけているのは、「あなたはどう生きるか?」という最も根源的なテーマ。
完璧な答えなどなく、ただ一つ、「積み上げていくこと」だけが人生であり、表現であり、創造なのだと、この映画は語りかけてきます。
あなたは、どんな石を手にし、どう積み上げていきますか?