『火垂るの墓』は、戦争の悲惨さと家族の絆を描いたジブリ屈指の名作です。
その中で、清太と節子を引き取った「おばさん」の存在は、長年にわたり賛否を呼び続けています。
子どもの頃に観た時は「意地悪なおばさん!」と感じ、大人になってから観直すと「実は悪くないのでは?」と考える人も多いでしょう。
本記事では、「火垂るの墓」おばさんは悪くないのではないか、というテーマを軸に、時代背景や心理描写、視聴者の評価の分かれ目まで徹底的に掘り下げます。
映画『火垂るの墓』を観て心が動かされた方には、
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映画鑑賞は年間100本以上・映画ブログ運営4年
中学生の頃に『スターウォーズ』に感動して以降、
映画の沼にハマり続けて20年。
結婚・出産後も年間100本は必ず鑑賞中。
Filmarksアカウントにも鑑賞レビューを掲載中。
おばさんは本当に悪い人?——戦時中の背景と立場から考える
おばさんは悪くないと思う大人になりたくないなぁ
— 一期一会🐾🍓🐾 (@OiA3o) June 13, 2025
"『火垂るの墓』おばさんは悪くない?セリフは正論?大人になってわかった優しさを考察" https://t.co/bNqdObOS3w
物語の舞台は太平洋戦争末期。
全国的に食糧不足が深刻化し、誰もが「生き延びること」に全力を注いでいました。
おばさんは実の娘や下宿人を抱え、限られた配給で生活を回す必要があったため、清太と節子を迎え入れること自体が大きな負担でした。
このため、視聴者が冷たく感じる言動も、当時の現実では合理的な選択といえる面があります。
清太と節子を引き取った経緯と最初の関係性
火垂るの墓
— ⚜️逢魔ゆみにむ⚜👻新人VTuber🦋 ⚔ドラクエの虜⚔ (@Yuminim_VTuber) June 10, 2023
おばさんのほうが正論言ってるやん…と思うようになった(けど、高畑勲さん的には若者にそう思って欲しくないそう) pic.twitter.com/D1yb8jUFuf
清太と節子は母親を空襲で亡くし、身寄りを頼っておばさんの家にやってきます。
当初、おばさんは炊き出しを分け与えたり、布団を貸したりと世話を焼いていました。
しかし日が経つにつれ、態度は厳しさを増していきます。
態度が変わった理由——食糧難と価値観の違い
火垂るの墓のおばさん
— kouei🍠 (@kouei52) July 22, 2023
良く見ると勤労奉仕してる下宿人と娘だけでなく、自分も具沢山の雑炊なんだな pic.twitter.com/qgy8Mmilzp
- 戦時中は「働かざる者食うべからず」という意識が強かった
- 清太が学校にも行かず、家事や仕事を手伝わないことが不満を募らせた
- 家族を優先せざるを得ない状況で、他人の子への負担感が増していった
おばさんの言動は正論だった?現代視点とのギャップ
火垂るの墓で悪者扱いされてる親戚のおばさんですが、今にしてみると清太くんにも問題があったのではと思う今日この頃…😅 pic.twitter.com/KYFLNUnauR
— サトえもん (@satoemon2020) September 28, 2019
おばさんの「お国のために働く人と、何もしないあんた達が同じ食事をするのはおかしい」という言葉は、現代では冷酷に映りますが、当時の社会規範では筋が通っていました。
視点を変えると「悪意」ではなく「生存戦略」だったと理解できます。
清太が家を出た本当の理由と兄妹の心理
火垂るの墓。原作は野坂昭如。清太は将校の長男で裕福な家庭に生まれた。疎開先の生活になじめず妹を連れて飛び出し岩穴で二人きりで生活する。妹は衰弱し清太も息絶える。サリンジャーへの回答として僕は受け取った。最後には二人とも息絶えるが、野坂が実の妹にできなかったことを書いたとのこと pic.twitter.com/dgvm84cB1m
— ななかまど (@almasoja7746) February 17, 2024
清太は裕福な軍人家庭に育ち、誇り高い性格でした。
おばさんからの叱責や、母の形見を売られた出来事は自尊心を深く傷つけました。
節子が泣く姿を見て、「自分が守る」という思いが募り、現実的な生活の厳しさよりも感情が優先されてしまいました。
「悪くない」とされるおばさん像——共感される理由
火垂るの墓
— Y_NAKAJIMA (@y_nakajima_) July 26, 2023
劇場公開から35年も経ってるのに放送される度におばさんと清太について論争になるの凄いよね
子供の頃見たときは、辛い目に合ったばかりの清太に追い打ちをかけるように意地悪をするおばさんが邪悪に見えたが… pic.twitter.com/Dcp25hLfvS
- 食料不足の中で他人の子を引き取っただけでも善意
- 態度の厳しさは生き残るための必死さ
- 清太が働き家事を手伝えば、関係は改善した可能性大
- 戦時中は共同生活の協力が不可欠だった
「やっぱり悪い」と感じる人が多い理由
#映画の中の忘れられないババア
— coco_movie (@coco_movie) April 13, 2023
『火垂るの墓』の西宮のおばさん
子供の頃は、なんやねんこのババアって正直ずっと思ってたけど。大人になるにつれて見方も考え方も変わっていったな…
結論は、“すべて戦争が悪い”だけど😫 pic.twitter.com/m5BBPm5f6Q
- 子どもへの言葉遣いが厳しすぎる
- 親戚ならもっと配慮して欲しかった
- 精神的な支えを奪ったことへのやるせなさ
清太とおばさんの関係のすれ違いとその後の描写
火垂るの墓の西宮のおばさんのモデルになった人て実は優しい人やってんな🥲 pic.twitter.com/aiBS0vAYnD
— ぬいぐるみ王子 (@gloryload) April 22, 2024
映画本編ではおばさんのその後は描かれませんが、原作小説や実写版では、2人を追い出したことに後悔や罪悪感を抱いていたとする描写もあります。
もし戦争がなければ、関係は全く違っていたかもしれません。
他メディア(原作小説・実写版)での描かれ方の違い
10月10日は作家・野坂昭如の誕生日。
— 本ノ猪 (@honnoinosisi555) October 10, 2023
「小説『火垂るの墓』にでてくる兄ほどに、妹をかわいがってやればよかったと、今になって、その無残な骨と皮の死にざまを、くやむ気持が強く、小説中の清太に、その想いを託したのだ、ぼくはあんなにやさしくはなかった」(『アメリカひじき・火垂るの墓』P270) pic.twitter.com/SJbLRctnmY
- 原作小説:おばさんの内面描写が多く、罪悪感や葛藤が強調
- 実写版:清太とおばさんの関係がさらに現実的に描かれ、時代の厳しさが際立つ
よくある疑問Q&A:おばさんの評価をめぐる議論
Q. おばさんは悪くないの?
A. 戦時中の背景を踏まえると、完全な悪人とは言えません。
Q. 清太が家を出なければ助かった?
A. 栄養失調を防げた可能性は高いですが、14歳の少年の判断力とプライドを考えると単純には責められません。
総合考察:火垂るの墓が伝える「誰も悪くなかった」という視点
『火垂るの墓』について
— mai. (@mai_fishingg) August 4, 2025
これ以上の名文はないと思う
「女の子は死ぬまえに、兄がもってきてくれた西瓜を食べ「おいしい」とつぶやき「兄ちゃん、おおきに」といって眼を閉じる。私にはその四歳の少女の姿が、どうしても忘れられない。この世の中でいちばん確かなものは…」
––「夕陽妄語」加藤周一 pic.twitter.com/lywWB0zRCC
この作品は、戦争という極限状態で善悪を単純に分けられない人間模様を描いています。
おばさんも清太も、それぞれの立場から必死に生きようとしただけであり、「誰も悪くなかった」とすら言えるのです。
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まとめ:現代人がこの物語から学べること
土曜の昼から家族三人で『火垂るの墓』を見るという荒行に臨みました。実はテレビで後半ばかりを目にして、冒頭からしっかり全編見たのはほんとに久しぶり。娘はうまく飲み込めてないとこがいくつかあるみたいたけど、涙腺が壊れて黙りこんで画面を見つめる両親を見ただけでも得るものはあっただろう。 pic.twitter.com/VowuQ2VwI0
— Ching_O))) (@halfromhell) August 2, 2025
- 相手の行動の裏にある背景や事情を想像することの大切さ
- 時代や環境が価値観や判断基準を大きく左右する
- 感情だけでなく、多面的な視点で物事を見る重要性
『火垂るの墓』は、観るたびに新たな気づきを与えてくれる不朽の名作です。
おばさんの行動も清太の決断も、「もし自分なら?」と考えながら改めて観てみることで、より深い理解と感情の揺れを体験できるでしょう。