映画『火垂るの墓』は、日本のアニメ史だけでなく、世界の戦争映画史にも名を刻む不朽の名作です。
物語のラスト、戦時中の神戸から一転して現代の高層ビル群が夜空に輝くシーンに切り替わる瞬間、多くの観客が強い衝撃と違和感を覚えたことでしょう。
なぜ、戦争を舞台にした作品の最後に現代の街並みが映し出されるのか。
このビル群は何を象徴し、どんなメッセージを私たちに伝えようとしているのか――
本記事では、考察と解釈を多角的に掘り下げ、その深層に迫ります。
映画『火垂るの墓』を観て心が動かされた方には、
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映画鑑賞は年間100本以上・映画ブログ運営4年
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Filmarksアカウントにも鑑賞レビューを掲載中。
火垂るの墓ラストシーンに映る“ビル”の象徴性とは?
めちゃくちゃ久しぶりに『火垂るの墓』を観てガチ泣きしたのは昨日のこと
— You!? (@iamYouYouYou) June 11, 2021
このラストシーンまじで秀逸ですよね pic.twitter.com/24egwqlVuV
ラストシーンでは、清太と節子が山のベンチに座り、背後に現代の神戸を思わせる高層ビル群が広がっています。
戦時中の荒廃した街から、ネオン輝く都市へ――この時間的飛躍は、過去と現在を直結させ、視聴者に「今の私たちの社会は何の上に築かれているのか」を問う強烈な演出です。
清太と節子はなぜ現代のビルを見ているのか
火垂るの墓ラストシーンはやっぱりやらないか pic.twitter.com/Zc5NN4OUi7
— 絢 (@Ay_yuikaori) August 14, 2015
時代設定的に、二人が生きて現代を見ているはずはありません。
そのため、多くの解釈が「清太と節子は幽霊となって現代を見守っている」という立場を取ります。
彼らは戦争で命を落とした後も、この世に残り続け、現代の社会を静かに眺めている――その姿は、戦争の記憶が決して過去のものにならないことを象徴しています。
現代のビル群が持つ意味を考察
「火垂るの墓」を初めてテレビで観たとき。母親がラストシーンを号泣しながら観てて、マジかよ、超泣いてるよ…とドン引きした。
— Ching_O))) (@halfromhell) June 8, 2022
娘が節子と同じ4歳の時、テレビで久しぶりに観た。例のラストシーン。
「もう遅いからおやすみ」
「うん!」
で涙腺が大爆発。
自分の涙と鼻水で溺死するとこでした。 pic.twitter.com/Lj1mu8FCWF
ビルが現す意味3つ
火垂るの墓。焼け野原に佇む御影公会堂…。今でもあります。大切に残してほしい。 #火垂るの墓 #御影公会堂 pic.twitter.com/PlgF456SNp
— なおばぶ@犬じゃない (@naokibabu) August 16, 2015
- 平和と繁栄の象徴:高度経済成長を経た日本の象徴として描かれ、戦争の荒廃と対比されます。
- 個人と社会の対比:清太と節子は社会から孤立し、その庇護を受けられずに亡くなりました。背後のビル群は大きな“集団”としての社会を示します。
- 過去と現在をつなぐ架け橋:ラストの演出は、戦争と平和を地続きの歴史として意識させる役割を持ちます。
幽霊説と煉獄説――二人の存在の解釈
◎本日、7月26日は「#幽霊の日」です。
— ジブリのせかい【非公式ファンサイト】 (@ghibli_world) July 26, 2022
ジブリ作品には、ほとんど幽霊は出てきませんが、唯一登場するのが『火垂るの墓』です。
物語の冒頭と終盤に、死者の視点となった清太と節子の幽霊が登場します。 pic.twitter.com/gm5HNFGo5h
幽霊説では、二人は成仏できず現代を見守る存在とされます。
一方で煉獄説では、彼らは未練を抱えたまま現世とあの世の間に留まり続け、永遠に傍観者として存在していると考えられます。
この“現代を見ているが、そこに入れない”構図こそが、戦争の犠牲者の孤独を際立たせています。
戦争の犠牲者としての永遠の傍観者
今日は「火垂るの墓」ですね。
— ちぐはぐ空賊団㌠ No.0 (@Chiguhagu_No_0) April 13, 2018
劇中、幽霊となった主人公が時折、出てきます。
これは、死後、自分の過去を思い出しているわけですが……。
自分がどんな想いで、死んでいったかを繰り返し回想しているらしいです。
死んでもなお、苦しみ続けているという事らしいです。
#火垂るの墓 #ジブリ pic.twitter.com/MENGLXRQjM
二人は、何十年経っても現代の繁栄の外側からそれを見守り続けます。
これは、戦争の被害者が時代を超えて存在し続けること、そしてその声なき存在を忘れてはいけないというメッセージです。
ラストシーンが投げかける現代人へのメッセージ
火垂るの墓の冒頭のモノローグは、苦しかった生活を思い出してぼんやりしてる訳ではなくて、
— 🩷カトリ🩵 (@jikuxk) August 18, 2018
映 画 を 見 て る 我 々 を 見 て る
そうです……
ちなみにこの状態は幽霊らしいですよ…… pic.twitter.com/jheIurhM2h
- 犠牲の上に築かれた今:今の平和は、多くの命と苦しみの上に成り立っています。
- 記憶を未来に語り継ぐ責任:戦争の記憶を風化させず、次世代へ伝える必要性があります。
- 平和は当たり前ではないという警鐘:このシーンは「あなたはその平和をどう守るのか?」と問いかけています。
他に語られる主な解釈まとめ
夏のオススメ映画
— サト☆エンタメ好き (@satolife_time) July 30, 2021
ジブリ作品
「火垂るの墓」
悲しく暗いお話ではあるけれど
兄妹の幸せなシーンはまた格別!
節子がむちゃくちゃ可愛い!
小さい頃は全く気づかなかった
タイトルの意味や
ポスターに隠されたメッセージが
また作品の奥深さを物語っています
あと無性にドロップが食べたくなる pic.twitter.com/mYRtt3iesz
- 幽霊として現代を見守る説:魂となった二人が発展した街を見続ける。
- 社会(ビル)と孤立する個人の対比説:大きな社会の外に置かれた存在として描かれる二人。
- 成仏できぬ魂の象徴説:未練と無念を抱えたまま現世を彷徨う姿。
- 希望と癒やしの二面性説:輝く夜景は未来への希望を示すが、二人の状況は癒えない戦争の傷跡を表す。
よくある質問(FAQ)
Q. ビルは実在する場所?
A. 現代の神戸をモデルにしている可能性がありますが、正確な場所は特定されていません。象徴性が重視されています。
Q. 二人は何を思ってビルを見ている?
A. 明確な表情は描かれていませんが、多くの視聴者は清太の顔から静かな諦観と切なさを感じ取ります。
Q. なぜ現代の景色をラストに?
A. 戦争と平和を直結させ、犠牲者の存在を現代の中に生き続けさせるためです。
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まとめ|火垂るの墓ラストのビルが私たちに問いかけるもの
『火垂るの墓』8月15日の金曜ロードショーで地上波7年ぶりに放送決定https://t.co/VU4RAKCgTM
— ファミ通.com (@famitsu) May 26, 2025
1988年に公開されたスタジオジブリ作品。清太と節子、戦争孤児となった兄妹が懸命に生きようとする姿を描いた名作アニメ映画。 #金ロー #ジブリ pic.twitter.com/PViRUM44Q3
ラストシーンの現代ビルは、
- 今の豊かさと平和が戦争の犠牲の上にあるという事実
- 清太と節子が“忘れてはならない存在”であること
- 個人と社会、過去と現在の対比
を鮮烈に映し出します。
『火垂るの墓』は、最後に現代のビルを見せることで、「平和は本当に当たり前か?」という根源的な問いを私たちに突きつけています。
この問いにどう向き合うか――それこそが、作品が未来の私たちに残した最大の宿題なのです。